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よしなしごとども 書きつくるなり
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アリス・フィーニー(東京創元社)

脚本家であるアダムは相貌失認と呼ばれる疾患がある。妻のアメリアは動物保護施設で働いている。
2人の仲は冷え切っていた。
関係を再構築すべく、スコットランドの山奥までやってきた2人。
古いチャペルに宿泊するも、大雪で身動きが取れなくなってしまい、不審な人物も見え隠れする……。

アメリアとアダム、それからアダム宛ての手紙という三者が交互に語るという構成がよかった。
寝る前に少し読書して気分を落ち着けたい、にうってつけ。
チャペル内のシーンが全体の多くを占めていて、ちょっと退屈だったところも逆に良かったかも。

アダムの疾患がストーリーの鍵なんだけど、ブラピ様もこの病気持ちでしたね。
親しい人の顔を判別できないってのも辛そうだけど、騙そうとしてくる相手も分からないって、それは危険だわ。
(ちょっとネタバレか?)
75点

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ピエール・ルメートル(文藝春秋)

失業中のアランは57歳。就活もうまくいかず、バイトに身をやつしていたが、とある一流企業の最終試験までこぎ着けた。
しかしその試験内容が問題であった。会社の目的は重役たちの査定、ニセの武装集団に突入させて重役たちのふるまいを見定めようというもの。
アランは武装集団に、別室から的確な指示を出すようにと言われるが、シナリオどおりにはことは運ばず、次第に事態は思わぬ方向へとおちいってゆく……。

3つのブロックに小説はわかれていて、「そのまえ」アランが最終試験に挑戦することを決意するまで、「そのとき」武装集団の突入から幕切れまで、「そのあと」は事件後のエピソードとなっている。
「そのまえ」が長すぎて挫けそうになった。何をやってもうまくいかないアランの愚痴に付き合わされて、ほとほと疲れた。
そのあとはスピード感のある展開であったが、設定が複雑で、それをどんでん返しと言うのであろうが、ついていくのが大変だった。
映画化したら面白そうだが、しがない中年男のグダグダっぷりは短めでお願いしたい。
50点

カーソン・マッカラーズ(新潮社)

12歳の少女フランキーは、兄に付いていくことを決意していた。もうすぐ結婚式をあげる兄。花嫁もきっとわかってくれるだろう。
こんな息が詰まる街、絶対に出ていく。そう思っていたフランキーだったが……。

もう感想書くのはやめようかと思ったり、だからコレの前に読んだ村上春樹・著「村上さんのところ」は面白かったけどスルーしたり。
その本で激賞されていたのがこの作品で、ところが驚くほどつまらなくて、でも忘れてまたタイトルに惹かれて買ってしまいそうなので、備忘録としてこれを書く。

村上氏の解説のよると、12歳の主人公が陥った「気が触れたようなひと夏」は、誰もが経験したことで、それがみずみずしく描かれている、らしい。
ときに大胆で、かつ小心で、驚くほど残酷だったり、場違いに優しくできたり、自分で自分を持て余してしまう、そんな時期はあったような気がする。
でもフランキーは超えてはいけないラインを超えてしまっている。
その微妙な、しかし大事な部分が、彼女に共感できない最大の要因だと思った。
10点

ディーノ・ブッツァーティ(光文社)

短編集。22の作品が収められています。
表題作の「神を見た犬」が面白かったです。
貧しい村・ティスに一人の隠修士がやってきて、近くの丘に住み着く。信仰心を持たない村人たちは彼を無視する。
隠修士の元には一匹の犬が一緒にいて、やがて彼が息絶えたとき、犬だけが残される。村人たちは隠修士の死に際を犬はきっと見ていた、「神を見た」犬だと思い、勝手に畏れを抱く……。

相手はただの犬なのに、右往左往する人々。誰も聞いてないのに言い訳を言い、犬にこっそり餌を与えたりして笑えました。
ラストも良かったです。本当に思い込みってこわい。

他に、神と天使たちが宇宙を造ったときのエピソード「天地創造」、のべつ幕なしに喋り続けることで、役人たちからまんまと金をせしめる男の話「わずらわしい男」なども面白かったです。
90点

ヘレン・マクロイ(東京創元社)

 叔父の遺産を得たハリーは、亡き母親のふるさとである田舎町へと移り住んだ。そこは彼の恋い焦がれるシーリアのいる町でもあった。だが彼女はハリーが知らぬうちに人妻となっていた。悶々としながらも、新生活を始めるハリー。そして彼の周囲で奇妙な出来事が頻発し始める……。

 この物語で使われているトリックは、いわゆる「よくある手」かもしれないが、その大胆さには驚かされた。何しろ1行目に大きなヒントが隠されているのだから。
 もちろん作中にもヒントは散りばめられている。読了してみれば、あれもこれも犯人につながる手掛かりだったというわけだ。
 ラストもいい。私が「彼」だったら、きっと同じことを決心したと思う。しかし同じような行動をとれたかは疑問だが。
80点
 
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