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よしなしごとども 書きつくるなり
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萩原葉子(小学館)

父親が亡くなり、その娘・ふたば(←漢字が出ない)は叔父たちの手によって財産を奪われてしまう。さらに戦争が暗い影を落とす中、結婚によってしあわせになろうとするふたばだったが、夫・和夫は暴君と化す。
詩人・萩原朔太郎の長女である筆者の、自伝的小説。

「蕁麻の家」はずいぶん前に読んで内容はよく覚えていないが、その悲惨さに度肝を抜かれたことだけは心に残っている。その続編である本作品もまた救いがない物語であった。
どうしてこんなに狡い人でなしばかりが筆者の周りに集結しているのか。
詐欺まがいの手法で父・朔太郎の著作権を奪う叔父。口汚くふたばを罵る叔母たち。
自らのコンプレックスからふたばに暴力三昧の夫。
特に夫の和夫は通訳というインテリジェンスに富む職業に就きながら、出自に異常な負い目を感じていて妻につらくあたる。
プライドが高すぎる夫というのは本当に厄介だ。あらゆることを猜疑の目でみてくるし、妻を敵対視することが止められないのだ。

唯一、この小説で温かさを感じたのは、朔太郎の友人である三善琢治(三好達治だと思われる)の存在である。ふたばと会い、著作権や彼女の生活について心配し助言するシーンは、本当に優しさにあふれていた。
95点

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原田マハ(徳間書店)

 ある結婚披露宴で感動的なスピーチを聞いたこと葉。その人のもとで修行することにした彼女は、やがて会社も辞めてスピーチのプロとも言うべきスピーチライターになることを決意するが……。

 初めて原田氏の作品を読んだが、見事に合わなかった。何もかもが「ありがち」としか思えず、まったく感情移入できなかった。
 そして固有名詞がいちいち実在のものをもじっていて(博報堂→白鳳堂など)、読んでいてとても引っ掛かった。パロディーならパロディーで徹底していれば笑えるが、こういう中途半端な使い方はイライラする。

 全編にわたって「ね、感動的でしょ?」という押しつけがましさがあふれていて、とにかく辛かった。
30点

萩尾望都(河出書房新社)

 漫画家・萩尾望都が20代の頃に書いたエッセイ。
 「ポーの一族」を夢中になって読んでいた一人としては、これは読まねばなるまい、と手に取った。期待を裏切らない愉快なエッセイであった。
 「トーマの心臓」が連載打ち切りになるところだった、とか。
 美内すずえ氏、青池保子氏は、論理的思考が出来る人、逆は自分とささやななえ氏、とか、そんな裏話にぞくぞくした。

 また、萩尾氏独自の視点で書かれた「パリで観た近代能楽集」や「バレエ」の話も興味を惹かれた。
 ダンサー・バリシニコフの美しさについて「百年前に生まれても百年後に生まれても見ることができない、脳ミソがふっ飛んでしまうような芸術を、今、同時代に生きて見ることができる」と書いている。
 バレエでなくても、そう言わしめるプロ中のプロの技を、死ぬまでに一度はナマで拝みたいものである。
70点
萩原朔太郎(新潮社)

 朔太郎は誕生日が一緒なので、勝手に親近感を覚えていた。
 が、彼の詩は感受性が豊かな人にしか味わえないものであろう。私など「失格」なのである、本当は。
 この詩集は悲しい言葉が多い。あらゆるものを突き放したい。そう言いながらも寂寥感に押しつぶされそうな自分。そんなイメージを抱かせる詩集であった。
60点
畠中恵(新潮社)

 大店の若だんなである一太郎。身体は脆弱だが頭は切れる。そんな彼がある夜、人殺しを目撃する。身近にいるあやかしたちとともに、事件の謎を解こうとする一太郎だったが……。

 登場する妖怪たち――鈴の化身・鈴彦姫、行李のかげから小さな顔を覗かせる鳴家(やなり)――が、可愛く微笑ましい。
 ストーリーは少しまどろっこしいものの、そこそこ楽しめた。が、会話が手馴れていない感じがした。いくら世間知らずとはいえ、若だんなの物言いは幼稚すぎではないだろうか。
60点
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