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よしなしごとども 書きつくるなり
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ポール・タフ(英治出版)

アメリカの子どもの貧困率は51%。貧困層のほうがマジョリティという現状に、筆者が、大人たちが出来ることは何か?

IQや学力を表す認知能力に対して、ひとつのことをやり抜く力、物事に取り組もうとする好奇心や意欲を非認知能力と呼ぶらしい。
それは子どもの期間、つまり未就学の時期に育まれるもので、だからこそ大切な期間であると言える。
過酷であったり、不安定であったりする家庭に育った子は、脳に悪影響が出て非認知能力は低下する。そのような環境にある(あった)子に、周囲はどのように介入すればいいのか、具体例がいくつか示されている。

まず貧困家庭への家庭訪問。
親自身も逆境に育った者が多く、疲弊しているので、共感や励ましでもって気を楽にさせてあげると、親も子どもも変わる。

就学後の取り組みとしては、モチベーションが続かない賞罰よりも、
・自ら興味を持って取り組める課題
・多少の困難を伴う、有能感を持てる課題
・教師に価値を認められていると感じられる課題
が生徒を伸ばすという。

今や日本もアメリカのように格差社会となりつつある。
困っている子どもに手を差し伸べることが、未来を創る投資だとマジで政治家は心得て欲しいものである。
75点

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モーリス・ルブラン(早川書房)

  若く美しく利発な娘・コラ。元外交官である彼女の父は自殺を遂げ、その遺書には驚くべき事実が書かれていた。彼女の身近にアルセーヌ・ルパンがいるというのだ。やがて彼女はある陰謀に巻き込まれてゆく。コラの運命は? そしてルパンは誰なのか?
 
  アニメ「ルパン三世」が好きで、流れでモーリス・ルブランのシリーズもだいぶ読んだが、いかんせん中学生には難解であった。今またこうしてルブランの遺作を読むことができ、今度はとりあえず理解することもでき、格別の思いがする。
  なんて個人的なことは置いておいて。
  この作品、魅力的かつ積極的な女性を前に、何とか身を引こうとするルパン、という構図が興味をそそった。ルパンが恋愛で悩むなんて! あまりに紳士的で優しい彼に驚いた。
 
  筆者は推敲を重ねて作品を仕上げるタイプだったらしい。「あとがき」にもあったが、この作品は少々推敲が足りないような印象も受ける。が、ルパンの意外な一面を見ることができて心はずむ読書となった。
75点
 
J.D.サリンジャー(白水社)

 高校生の「僕」は成績不振で学校を退学処分となり、寮を出て家に帰ろうとする。でも帰るに帰れず……。

 主人公が高校生なだけに、簡単に気が滅入り、有頂天になり、優しくなり、卑劣になる。この情緒不安定な状態の描写が、彼の独白というかたちで延々と続くので、次第に飽きて、ただ字を追いかけるだけの読書になってしまった。
 まるで知らない人のアルバムを見せられているかのように、退屈で空虚だった。

 余談だが、この作品を最初に読んだとき、私はすでに二十代後半だった。
 もっと若い時期に読んでいたら少しは主人公に共感できたかもしれないな、とは思った。
60点
ロバート・マンチ(岩崎書店)

 母親というのは、いつまでも子供のことを想っている、という内容の絵本。

 わかっていたのだ、こういう本だということは。なのに本屋で立ち読みしていたら、つい涙腺がゆるんだ。
 人間、経験してみないと、何だってわからないものである。いくら想像してみても、それは所詮「想像」であって、決して体験ではない。この当たり前の事実を、自分が親になって初めて実感できた。
 この絵本の「母親の慈愛」も、今読むからこそ真に理解できると思う。ああ、子供ってかわいい。無条件降伏、である。
65点
ジョン・ハート(早川書房)

 十三歳の少年ジョニー。彼の双子の妹アリッサが誘拐されてしまう。それから一年、ジョニーは妹を捜し求めて、危険な調査……前科者を見張る……を続けるのだった。

 妹は行方知れず、父親も失踪、母親は街の権力者によって薬漬けにされられ、とあまりに過酷な境遇にいるジョニー。彼が大人に対して頑なな態度をとるのも無理は無いだろう。
 それでも誘拐事件の担当刑事・ハントは何くれとなく彼の力になろうとする。狂気と暴力が横行する物語のなかにあって、ハントの優しさが際立つ。
 また、服役囚だったフリーマントルは、そのフランケンシュタインのような外見に似合わない純粋かつ素直な心で、ストーリーに潤いを与えてくれた。
 対して悪の権化はジョニーの母親を手込めにし、金に物を言わせてやりたい放題のホロウェイであろう。富裕層の人格障害者というのは、本当に始末が悪い。
90点
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