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よしなしごとども 書きつくるなり
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津村記久子(講談社)

エッセイ集。とても面白かった。
短い文章に、思わず考え込んでしまうような深い内容が詰まっている。

筆者は会社で上司からパワハラを受けた。そこから逃げた(退職か異動かは不明)が、上司は逃げられるとわかると激怒していた。
このとき、上司のほうが筆者を必要としていた、もはや依存していたと彼女は言う。
こういう体質の人は何があっても満足できない。不愉快を察知するアンテナを立ち上げて、気に入らないことを受信し続けるという。それこそが、不幸だと。
自戒を込めて書くが、他人に当たってばかりいる人は、だいたいこういう思考回路になっている気がした。

いろいろな展覧会に出向いた感想、「素人展覧会(第一期)」も愉快だった。
作品名で検索して「ああ、これを見てこう思ったんだ!」と共有できることがうれしかった。
さらにうれしさ倍増なのがミュージアムショップの品揃えに言及しているところ。ミュージアムショップって私も大好きなのだ。
手当り次第買いたくなるのをぐっとこらえるのも醍醐味である。
95点

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筒井康隆(中央公論新社)

世界から言葉が1文字ずつ消えてゆく。「あ」が消えたら「あなた」も「ありがとう」も無くなる。物語は続く、最後の音が消えるまで。

アメトーーク「本屋で読書芸人」で大反響! という惹句にまんまと引っかかった。途中までは筆者の実験が面白くて、どこまでいけるのかな? と興味を持って読んだ。が、実験ありきなのでストーリーは二の次、次第に退屈になって読み進めるのがつらかった。
また、失われた文字のせいで表現できない言葉について、主人公が思い悩むシーンが多々出てくるのだが、こちらも喉元まで出てるのに感を味わうことになる。それが地味にイライラした。

英語なら26文字消せば物語が完結するであろう。それぐらいなら退屈しないかも。最後に「I」を残せば……けっこういけそう。
50点

土屋賢二(文藝春秋社)

 東大卒にして大学教授である著者のエッセイ。
 こういう”笑い”は初めて体験した。無駄なインテリジェンスとでも言うべきか。

 筆者は、日常の瑣末な事柄に対して、飽くなき情熱を持って真理(?)を追求する。その姿勢は、哲学者の鑑と言えよう。
 というのは全くの冗談で、筆者が悪ノリして書いているのは「火を見るよりも明らかである」。
 前文の「」の中は、筆者に教えてもらったテクニックのひとつで、説得力に自信が持てないときは、この一文で締めくくるといいらしい。
70点
戸梶圭太(双葉社)

 乳製品の最大手「雲印乳業」(雪印ではありません、念のため)の牛乳で、集団食中毒事件が起こった。
 能無しの社長は「私は寝てないんですよ!」と逆切れし、役員たちは自らの保身のために右往左往。そんなとき、再建を賭けたリストラを断行する集団が現れ……。

 おそらくフィクションなのだろうが、個々の登場人物がとても生き生きとしていて、アノ食中毒事件も内部的にはこうだったのだろうと思わせる迫力がある。会社の上層部のバカさ加減が、悲しくも苛つく。
 かなり面白く読むことができたが、無駄な部分も散見された。社長をおちょくる謎の看護士や、宮部の交際相手など、本心が不明なままうっちゃられた登場人物がそれである。
80点
戸梶圭太(新潮社)

 とある大手企業が「溺れる魚」と名乗る犯人から脅迫を受けていた。それは経理部長にを奇怪な格好をさせ、銀座の街を歩かせろ、というものだった。
 ひそかに犯人を追う一人の警部。さらに彼を見張る二人の警部補。また、犯人に成り代わって金を脅し取ろうとする警部。はたして最後に笑うのは誰なのか?

 追うものと追われるものがくんずほぐれつ、最後までとにかく飽きさせない。女性や端役のちんぴらの描き方が雑だが、細かいことは言いっこなし、という気にさせられる。
 ラスト、最後に金を手に入れたのが彼だとは……と、人情的にがっかりしたが、犯罪がらみの金なんて、得てしてそういうところに落ち着くのかもしれない。
75点
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