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よしなしごとども 書きつくるなり
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読書の感想、これからは備忘録としてさらっと書きたいと思った61歳・冬。
考えをまとめるのがなかなかハードになってきちゃったわ、これも老化なのかしら。しくしく。

というわけで庄野順三・著「夕べの雲」(講談社文芸文庫)。
あーもうこういうの好き。好きすぎて、毎日ちびちび読みました。
大浦と細君(この呼び方もいい)、三人の子どもたちが丘の上の家に引っ越してくるところから物語が始まります。
吹きっさらしだから、風よけの木が要るよねってことであれこれ樹木を選んだり。
ムカデが出没して家族みんなが難儀したり。
梨の季節には長男の安雄くんが学校帰りに梨を買ってくるように母親に頼まれたり。
昭和な生活が生き生きと描かれていました。
特別なことは何も起きないけど、だからこそ退屈させずに読ませる筆力が半端ないっ。

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下村敦史(集英社)

相場師として名をはせた父親の巨額の遺産。
それを喉から手が出るほど欲しい兄姉3人。
父親が失踪してもうすぐ死亡認定が出るというそのとき、父親のブログが突然更新される。
はたして父親は生きているのか?

初めて読んだ作家だったが、どんでん返しの部分は面白く読めた。
しかし人物の造形が雑。特にアンティークショップを経営する美智香がいただけない。
やっすいドラマに出てくるヒステリックな女性を、何の工夫もなく登場人物として描きました、といった感じ。
それからお手伝いの愛子の印象も揺れすぎだと思った。
トリックの都合上こういう描き方になったのであろうが、それにしても、である。

さくさく進むストーリーは読みやすくはあったが、読み終えたら残るものがあまりない作品だった。
55点

清水潔(新潮社)

隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件。
タイトル、サブタイトルですべて語っちゃってますね。

ノンフィクションなのですが、まさに事実は小説より奇なり、警察、検察の怠慢に驚きました。
ずさんなDNA鑑定でもって、無実の人を無期懲役にまで追い込んだ足利事件。
その事件を軸に、記者である清水氏は丁寧に取材を進めます。
そして真犯人に肉薄するも、警察は動かない。他の事件との絡みなど諸々あって動けない。
恐ろしいじゃないですか、今も犯人はパチンコ店で幼女を狙っているかもしれないのです。
栃木、群馬にお住まいで幼女がいるご家庭は、この本を読んだほうがいいですぜ。

本筋とは少し離れますが、免田事件の犯人とされ、のちに無罪となった免田氏と清水氏が、タクシーに乗ったときの描写が胸に刺さりました。
「本当は犯人でしょ、無罪になったけど」
と、タクシー運転手が本人とは知らずに免田氏に言うシーン。
これが冤罪事件の真の恐ろしさだと痛感させられました。
90点

柴田元幸(日本経済新聞出版社)

翻訳家である柴田氏のエッセイ。
東大卒で超有名翻訳家、となればどんな深い話が語られているのかと思いきや。
まあなんて軽くて面白い。

「そして誰もいなくなった」。
有名な蚊取り線香のキャッチフレーズ「緊張(!)の夏」から話ははじまる。かき氷大好き話になり、今どきは冷房の効いた店でかき氷を食すはめになって頭にくる、僕が王様なら弱冷房を推奨して、守れない人は死刑だ。
で、表題へといきつく。

このまま日本の人口が減り続ければ、やがて涼しい夏がやってくるかもしれない。
ひと気もなく荒涼とした日本。
柴田氏にはそこまでがんばって生き続けていただいて、感想を聞きたいものである。
80点

司馬遼太郎(新潮社)

 十五巻にのぼる随筆集の第一巻。1953年からの8年間の記録。
 歴史小説が苦手なので、司馬氏の本はこれが初めてであった。とても面白く読めた。

 短文が多いなか、ちょっと長めの「家康について」が良かった。歴史に疎い私でも、ちんぷんかんぷんになることもなく、飽きずに読めた。
 信長が現代に生きたとしたら前衛芸術家となり、秀吉は政治家、家康は高級官僚になったに相違ない……そんな想像に興味をかき立てられた。
 うってかわって、下戸の悲哀を描いた「わかってください 酒を飲む苦しみを…」というエッセイはとても愉快だった。上戸の奥様とのやりとりが絶妙。
70点
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