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よしなしごとども 書きつくるなり
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アイナール・トゥルコウスキィ(河出書房新社)




 見知らぬ男が船でやってきて、一軒の廃屋に住みついた。
 町の人たちは男のことが気になってならない。
 どうやら男は雲を操って、そこから魚を獲るらしい……。

 一本のシャーペンで描かれたという絵の、その緻密さに驚いた。
 当然モノクロなのだが、そこには色彩を超越した陰影があり、独特の質感が広がっている。

 狡猾そうな町の人々の表情、黒く垂れ込める雲、不気味な機械の数々。
 見ているだけで不穏な気分になる刺激的な絵は、一見の価値がある。

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ジョン・ペーメルマンス・マルシアーノ(BL出版)




 パリに住む12人の女の子たち。彼女たちと一緒に学ぶ、人と接するときのマナー。
 小さな女の子が、ちょっと気取って挨拶するさまが可愛い。

 「ありがとう」を言いましょう、たとえ既に七つも持っているものを貰ったときでも。
 人の話は最後まで聞きましょう、それを遮っていいのは、火事になった家を見つけたときです。
 等々、大のおとなでもはっとさせられる部分があって、思わず苦笑してしまった。

ウルスラ・ジェナジーノ、ヨゼフ・ウィルコン(セーラー出版)




 一人暮らしのミンケパットさん。
 彼は小鳥のさえずるメロディにあわせて、古いピアノをいつも弾いていた。
 近所の人々はそれを迷惑がったが、小鳥たちはいつしか彼の家に集まるようになり……。

 気難しそうなミンケパットさん。
 笑顔の絵はひとつもないのだが、小鳥たちといっしょに描かれた彼は、とても優しそうに見える。

 色味を抑えた渋い挿絵も良いのだが、ストーリーもまた良い。
 孤独な老人にも春は訪れる。
 そのシンプルさが良い。

内田百閒(パロル舎)




 短編集。六つの作品が収められている。

 『件(くだん)』がよかった。
 からだが牛で顔だけ人間の「件」になってしまった「私」。
 「件」は何らかの予言をするというが「私」は何を予言したらいいのか分からない。
 人々が集まってきて途方に暮れる「私」。

 百閒の謎めいた文章もすばらしいが、版画がまた良い。
 おどろおどろしく、それでいてどことなく滑稽。
 「件」のラストの絵がカバーにも描かれているが、物語のラストのおかしみをうまく表現していると思う。

エリック・バトゥー、谷内こうた(講談社)




 1月から12月まで、自然の中で生きる動物たちの想いを描いた一冊。

 どの絵も、広々とした場所があって、そこに動物がちょこんと描かれている。
 動物たちはみなユーモラスで可愛い。

 「1月、まっている……」で始まる月々の短い言葉も、絵の邪魔になることなく良い味を出している。

 それにしても11月は、もうさむい……って。
 私の生まれ月は、作家でさえしゃれたことが言えない月なのか?

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