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よしなしごとども 書きつくるなり
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末井昭(朝日出版社)

 小学生のときに、母親をダイナマイト自殺で亡くした筆者。死について、自殺についてのエッセイ。

 これは微妙だ。筆者は真面目な顔してふざけるタイプとみえて、さらりとひどいことを書く。まぁエッセイなので、何を書こうが勝手なのだが。
 ひとまず筆者の人となりは置いておいて、数々の自殺に関するインタビューが興味深かった。
 「秋田県の憂鬱」。自殺率(人口に占める自殺者の割合)が、常に上位の秋田県。
 決定的な理由は謎だが、NHKの受信料の支払い率が高い秋田県、見栄っぱりな部分があるのでは? という考察にはうなってしまった。

 あるいは青木ヶ原樹海について。作家で樹海を歩く仕事をしていた早野梓氏のインタビュー。
 磁石が狂う、というのはヤラセであること。怪しい人には話し掛けて、相手が笑えばしめたもの、結局みんな迷っている……切ない話ではある。

 寝る前に少しずつ読んだが、かなり夢見が悪かった。昼間、読むべき本かもしれない。
45点

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白石一文(角川書店)

 東大卒で一流企業に勤める橋田。
 彼はふとしたことで香折という女性と出会う。複雑な家庭に育ったという香折を知るにつけ、橋田は彼女のことが頭から離れなくなる。いっぽうで、彼は社長の姪である女性との交際も続けるのだった。

 どいつもこいつも超エリート、美男美女で、最初は物語に感情移入できなかった。
 だが読み進むうちに、登場人物たちの本音が透けてみえてきて、気付いたら夢中になって読んでいた。
 主人公の橋田というのは、実は非常に危険な男で、その根底にあるのは冷たさだと私は思った。
 最終的に一人の女性を彼は選ぶのだが、それは優しさゆえでは決して無い。彼の執着心がそうさせたような気がして、なんだか薄ら寒い気持ちになってしまった。
75点
白石公子(集英社)

 郵便局に勤める直毅。彼には、実のりと穂のかという双子の妹がいた。不倫の恋に苦しむ実のり。専門学校を辞めて、小劇団に入りたいという穂のか。
 事故死した両親に代わって、妹たちを守りたいと思う直毅だが、自らの恋愛問題に思い悩む日々であった……。

 途中までは、とても面白く読むことができた。が、直毅が茜と葉子という二人の女性に、同時に好意を持つあたりから、俄然いやなムードが漂いはじめた。ん? もしかして? こいつ女々しいだけのやつ?
 それはやがて確信に変わった。こっちがダメならあっちの女。寂しさや苦しさから逃れるためだけに、女性を利用するとは、見下げ果てたヤツだ。
 だいたい、妹たちに対する感情が、兄弟愛を超えてやしまいか。そう考えると、タイトルさえ不気味に思えてくる。
60点
城山三郎(新潮社)

 妻を喪った夫・城山氏が、彼女との出会いから別れまでを綴った手記。
 城山氏といえば、お堅い経済小説のイメージがあるが、この本を読んでそれががらりと変わった。奥様のことが心底好きでいとおしく思う、優しい男性だったのだ。

 まず出会いのシーンが圧巻。とある図書館の前で、偶然出会う二人。「間違って、天から妖精が落ちて来た感じ」。一度でいいから、男性にこんなふうに思われてみたいものである。
 結婚後も、茶目っ気のある奥様に幾度と無く救われる城山氏。女は愛嬌とはよく言ったものだ。
 そして悲しい別れ。彼の憔悴しきった姿は、「父が遺してくれたもの」という、巻末の次女の手記で明らかになるのだが、それがまた涙を誘う。
 夫にここまで愛される妻、羨ましくもあり、自分とギャップがありすぎて不思議な感じも、正直した。
85点
神薫(バジリコ)

 私立K大医学部を経て研修医となった筆者の赤裸々エッセイ。
 K大といえば私大の雄、どんな豪華なお話が読めるのかと思いきや、研修医に対する待遇はあまりよろしくないようで。その意外性でもって楽しめた。
 また、いろいろな病気、怪我の話も興味深かった。やけどをした患者に皮膚移植をしたら、そのあと縮れっ毛が生えてきた話(移植したのは股の部分の皮膚だった)、とか。唇から毛が生えてくる話(小川洋子『猫を抱いて象と泳ぐ』)を偶然にも読んだばかりだったので、事実も小説も奇なり、とひとりごちた。
 それから超が付くお嬢様女医の話。病気に対する免疫がほとんどない彼女、子供が罹るような流行り病に次々に罹患してしまったそう。お気の毒に。

 ※筆者であるPNUさんは、ネット上でお付き合いいただいているかたです。
  なので点数を付けるのは控えますが、とても楽しい本なので、心からおすすめします。
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