北大路公子(集英社)
父親が急逝してお墓を用意しなければならなくなったキミコ氏。しかしコロナ禍も相まってなかなか物事が進まず……。
Twitterで毎日お会いしているので、(勝手に)身近に感じているキミコ氏。
そちらの内容が、この本によって肉付けされて、さらに味わい深いものになった。
近所の室外機が自宅のほうを向いていて非常にうるさい話とか。ハウスメーカーの無責任さにこっちまで腹が立った。
はなちゃん(元保護猫)を飼い始めた顛末とか。
こんなに人懐こくてかわいくて、後ばっかりついてくる猫がいるんだ、そりゃあメロメロになるわ、と思わされた。
肝心のお墓の話も、とても面白かった。面白がってはいけないのかもしれないが。
抽選制の墓地の売り出しに当選してしまって呆然とする様とか。
当選したら建立期限までにお墓を建てないといけないので、うれしさと困惑が入り混じってしまうキミコ氏。
分かるような、分からないような、読んでいるほうもそんな感じである。
しかし人間とはなんて面倒くさい生き物なのか。
私も亡くなったお父様と同じく、骨は道でもまいて欲しい派だが、そうはいかないのである。
葬式も戒名も要らないが、そうはいかない……いや、いくか。
とにかくいろいろと考えさせられるエッセイであった。
90点
父親が急逝してお墓を用意しなければならなくなったキミコ氏。しかしコロナ禍も相まってなかなか物事が進まず……。
Twitterで毎日お会いしているので、(勝手に)身近に感じているキミコ氏。
そちらの内容が、この本によって肉付けされて、さらに味わい深いものになった。
近所の室外機が自宅のほうを向いていて非常にうるさい話とか。ハウスメーカーの無責任さにこっちまで腹が立った。
はなちゃん(元保護猫)を飼い始めた顛末とか。
こんなに人懐こくてかわいくて、後ばっかりついてくる猫がいるんだ、そりゃあメロメロになるわ、と思わされた。
肝心のお墓の話も、とても面白かった。面白がってはいけないのかもしれないが。
抽選制の墓地の売り出しに当選してしまって呆然とする様とか。
当選したら建立期限までにお墓を建てないといけないので、うれしさと困惑が入り混じってしまうキミコ氏。
分かるような、分からないような、読んでいるほうもそんな感じである。
しかし人間とはなんて面倒くさい生き物なのか。
私も亡くなったお父様と同じく、骨は道でもまいて欲しい派だが、そうはいかないのである。
葬式も戒名も要らないが、そうはいかない……いや、いくか。
とにかくいろいろと考えさせられるエッセイであった。
90点
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北大路公子(集英社)
担当編集者に連れ出されて、筆者がいやいやあちこちを巡る旅エッセイ。
Twitterで知った北大路さん、さすがに面白い。
北海道ではアルパカとふれあい(年を取ると、アルパカの毛は社長室の絨毯から古いバスタオルになるらしい)。
山梨では富士山を拝めず(本当は存在しないのでは? 山梨県と静岡県の壮大な嘘では? 富士は鈍角だと言った太宰もグルでは? と疑いを深めたり)。
とにかく行くさきざきで面白かった。
今後も飲みすぎには注意(温泉宿で、よく朝っぱらからビールを飲んでいた)して、楽しくつぶやいてほしいものである。
90点
担当編集者に連れ出されて、筆者がいやいやあちこちを巡る旅エッセイ。
Twitterで知った北大路さん、さすがに面白い。
北海道ではアルパカとふれあい(年を取ると、アルパカの毛は社長室の絨毯から古いバスタオルになるらしい)。
山梨では富士山を拝めず(本当は存在しないのでは? 山梨県と静岡県の壮大な嘘では? 富士は鈍角だと言った太宰もグルでは? と疑いを深めたり)。
とにかく行くさきざきで面白かった。
今後も飲みすぎには注意(温泉宿で、よく朝っぱらからビールを飲んでいた)して、楽しくつぶやいてほしいものである。
90点
岸本佐知子(筑摩書房)
エッセイ集。
エッセイ集。
『気になる部分』もだいぶ気に入ったが、これも甲乙つけがたい面白さ。
巻頭を飾るのは『才能』。レジで一番遅い列に並んだ人が優勝する競技があったら、きっと自分が優勝すると筆者は言う。
レジでの攻防が、微に入り細を穿ち描写されていて、そうそうそう! と激しく同意しながら読んだ。私の場合、おまけに「さっきまで込んでいたレジが、気付くと自分の後ろには誰もいない」競技でも優勝する自信がある。
レジでの攻防が、微に入り細を穿ち描写されていて、そうそうそう! と激しく同意しながら読んだ。私の場合、おまけに「さっきまで込んでいたレジが、気付くと自分の後ろには誰もいない」競技でも優勝する自信がある。
他にオススメとしては、ちょっとおしゃれ気分(!)でアロマに手を出したらこうなった、の『素敵なアロマ生活』とか。
「め」と「ぬ」は似すぎではあるまいか? といろいろなひらがなに思いを馳せた『やぼう』とか。
思わずにやり、ではなく本気で笑ってしまう一冊である。
95点
「め」と「ぬ」は似すぎではあるまいか? といろいろなひらがなに思いを馳せた『やぼう』とか。
思わずにやり、ではなく本気で笑ってしまう一冊である。
95点
岸本佐知子(白水社)
エッセイ集。
こんなに面白いエッセイの書き手を今まで知らなかったなんて! と悔しさがこみ上げるくらい面白かった。
中盤にあるただの妄想を書いた部分だけはイマイチだったが、それ以外はとても楽しく読むことができた。ロールシャッハ・テストの絵がどれも骨盤に見える、という一文には本気で噴いた。
そして白水Uブックス版の巻末だけにあるボーナストラックの「あるようなないような、やっぱりあるような」。川上弘美氏と面識はないけどあるような気がする、という文に共感を覚えた。私も川上氏と酒を飲んだことがある、ような気がしてきた。
85点
エッセイ集。
こんなに面白いエッセイの書き手を今まで知らなかったなんて! と悔しさがこみ上げるくらい面白かった。
中盤にあるただの妄想を書いた部分だけはイマイチだったが、それ以外はとても楽しく読むことができた。ロールシャッハ・テストの絵がどれも骨盤に見える、という一文には本気で噴いた。
そして白水Uブックス版の巻末だけにあるボーナストラックの「あるようなないような、やっぱりあるような」。川上弘美氏と面識はないけどあるような気がする、という文に共感を覚えた。私も川上氏と酒を飲んだことがある、ような気がしてきた。
85点
貴志祐介(角川書店)
前評判を聞きつけ、初版本を買った。期待を裏切らない怖さだった。保険金欲しさに子供まで手にかけるって信じがたい……けどそんな事件あったなぁ。
主人公と殺人鬼の対決シーンは、緊迫感があって読み応え充分。エレベーターの「閉」ボタンは押したらすぐ閉まって欲しい、とつくづく思った。
80点
前評判を聞きつけ、初版本を買った。期待を裏切らない怖さだった。保険金欲しさに子供まで手にかけるって信じがたい……けどそんな事件あったなぁ。
主人公と殺人鬼の対決シーンは、緊迫感があって読み応え充分。エレベーターの「閉」ボタンは押したらすぐ閉まって欲しい、とつくづく思った。
80点