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よしなしごとども 書きつくるなり
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高野文子(筑摩書房)

Hanakoに連載されていたというマンガの文庫版。
オールカラーでとてもきれいなのだが、文庫は文字が小さくて参った。

内容はというと、マイペースに我が道をゆくるきさんと、その友達のえつこさんの日常を描いている。
ファッションには無頓着、子どものように無邪気だったり、しかし時として老成しているようなるきさん。おしゃれ大好き、常識派のえつこさん。その対比が面白かった。

ただどうしても引っ掛かる描写があった。えつこさんのおしゃれっぷりを表現したかったのだと思うが、るきさんが買ってきたケーキを見て、不二家でしょ? え、マキシム? なら食べようかな、という部分が疑問だった。
不二家sageしてるよね? と嫌な気分になった。
65点

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高村薫(毎日新聞社)

  ネットのあやしげなサイトで出会った2人の男。彼らは気の向くままにATMを破壊し、コンビニ強盗をし、見知らぬ住宅で強盗殺人をはたらく。彼らに良心はあるのか。
 
  これは犯人の人間性云々という書評がきっと多いと思う。だからあえて違う切り口で感想を書いてみる。
  私の心に残ったのは、殺されたほうの4人の命についてである。夫婦ともに医師、子ども2人は筑波大付属小・中学に通っている、何不自由のない裕福な家。殺害された翌日、ディズニーシーへ行く予定だった4人。
  彼らのまばゆいような、それでいてごく普通の日常が物語の前半で描かれている。小さなことで喜んだり、迷ったり、悩んだり……そんな微笑ましい日常は、まさに「冷血」な犯人の手によって崩れ去る。
  事件の起きた時や、その後(は当たり前だが)の4人の心情は一切描かれていない。その圧倒的な不在、死というものの絶対性に呆然としてしまう。
  犯人たちにとって、一家の命は虫けら同然であった。なぜ殺した? 何となく。そんな狂気を持った人間が、現実の世界でもニュースをにぎわせている。神も仏もないのかもしれない。
95点
 
大道珠貴(文藝春秋社)

 三つの短編が収められている。
 表題作の「裸」。
 バーで働く「あたし」。店には伯母と従姉も一緒に勤めていた。あたしが幼い頃、父と深い関係にあった伯母。拒食症ぎみの従姉。当然二人を良く思わないあたしの母親。みんな好き勝手に生きている。あたしは嫌悪する気持ちと離れがたい気持ちの間で揺れ動く……。

 読みづらい、というのが第一印象。博多弁には最後まで慣れることができなかった。
 そして、どこかしら病んでいる登場人物たち。気分が悪くなるような表現の数々。こういう作品は苦手だ。
 他の二編も負けず劣らず陰鬱だ。特に「ゆううつな苺」の楠子がひどい。中学生の分際で先生を誘惑するとは……腐っているとしか言いようがない。
45点
平安寿子(光文社)

 進藤晶生。28歳。職業・デート屋。話し相手が欲しい、パーティのエスコート役が欲しい、そんな女性のためのパートタイム・パートナー。得意技は、とびっきりの笑顔で、女性を寛がせること。

 個性豊かな女性が入れ替り立ち替り現れては、晶生にいろいろなことを語ってゆく。そのあたりの構成は面白かった。
 だが、主人公の晶生という男性、私が実際に会ったら絶対に嫌いになるであろう。まず根拠の無い自信が過剰である点。それからマザコンであることを認めて開き直ってて、いい年をして母親に金の無心までしてる点。
 彼のように、すべて自分の都合の良いように物事を解釈する人間には、嫌悪感しか湧かない。
35点
高野和明(講談社)

 前科者の八神は骨髄移植のドナーとなる予定だった。
 手術の前日、友人の死体を発見した彼は、謎の男たちに付け回され、東京中を逃げるはめになる。
 一方「グレイヴディッガー」なる殺人鬼が現れ、一夜のうちに何人もの犠牲者が出る。
 八神を追うのは殺人鬼か、あるいは謎の集団か。そして彼は移植に間に合うのか。

 八神の性格設定がコミカルで、面白かった。
 だが二重、三重に追うものと追われる者が入れ替わるところなどは、分かりづらく、謎解きも中途半端だ。核心部分がうやむやで、肩透かしを食わされたような気になった。
75点
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