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よしなしごとども 書きつくるなり
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菅野仁(筑摩書房)

友だちは大事だけど、その関係に悩み、傷ついている中・高校生。著者は言う、人との距離感覚が大切で、そこを磨いてうまくつながろうと。

昔の日本はムラ社会で、お互いに助け合って生活していた。だからみんな仲良くしようね! が機能したし必然だった。
けれど現代においては、助け合わなくても生活が成り立つようになった。なのに相変わらず「1年生になったら友だち100人」作って誰とでも仲良くせよ、と圧力をかけるからおかしくなる。
気が合わないと感じるクラスメイトとは、敵対することなく上手く並存できる作法を身に付けよう、と著者は説く。

これ、本当にその通り。
友だちか敵か? の二択で考えるからいじめも発生する。
学生どころか年を取っても二択しかない人(特に女性に多い)が、いる。
気に入らなくても態度保留でいきたいものだ。自戒を込めて書いておこう。
65点

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木皿泉(河出書房新社)

若くして夫・一樹に先立たれたが、義父との同居を続けるテツコ。その新しい恋人、岩井。一樹の幼なじみのタカラ、いとこの虎尾。皆が一樹を想い、それぞれの方法で彼の不在を受け入れようとするが……。

大切な人が死んでも、毎日は過ぎていくし、ずーっとその人のことを考えていることは不可能です。
当たり前だけど、ふと罪悪感を持ったりしてしまうよね。
でもそれでいいんだよ、生き残ってる側は、くだらないことや煩わしいことでいっぱいの日々を生き続けなければいけないんだもの。
そんなことが言いたいのかなあと思いました。

ストーリーは面白かったのですが、ところどころにある、
そーゆーもんですか
そーです
どーするんですか
なんて書きかたが気になって仕方なかったです。

これ、もうアリなのかな。
20年もしたら言文一致でOKになるかもしれませんが、今はまだ早い気がする。
エッセイとかならまだしも、私は受け入れがたいなぁ。
65点


川上未映子(文藝春秋社)

 エッセイ集。
 句点がない、長い長い文章があったりするが、不思議と読みやすかった。筆者には嫌がられそうだが、物事を考える順序が似ているのかもしれない。
 内容も面白かった。ぐずる子どもを一瞬で笑いのるつぼに叩き落とすワザ、とか。ベルリンの小熊・クヌートに関しての考察、とか。特に「!」と思ったのは、太宰治の小説についてのくだり。
 「太宰治の文章を再読すれば、どこも、一文字も、何にも、変えられない。……(略)『単語全員』が同時に安堵しているよう」。
 どんなに何げないシーンでも手を抜いてる感がまったくない、隙のない、それゆえ息苦しくなるような太宰の文章。彼の選択は唯一無二、まったく同感である。
90点
 
川上未映子(講談社)

 学校でひどいいじめに遭っている、中学生の「僕」。やはり同じようにいじめられているコジマという女子生徒から手紙が届く。2人は何度も手紙をやりとりし、たまに2人だけで会うこともあった。やがて「僕」に対するいじめは激しさを増し、「僕」の心は壊れ始めてゆく……。

 コジマはいじめる側の人間について「何も考えてないし、わかっていない。人の痛みなんて考えたこともない」と言う。核心を突いている。
 それが証拠に、「僕」をいじめている百瀬という生徒は、「僕」に言う。
 したいことをやっているだけで、人の気持ちなんて知らない。君が僕だとして、同じことをする? しないし、できないんだよね? 僕はそれができる、ただそれだけのシンプルな話だ。
 こんな、狂った賢い子が、いま増えているのかもしれない。良心に訴えても無駄な彼らに、大人が為すべきことはあるのだろうか。
 もちろんこれは虚構の世界だが……昨今、いじめを警察に訴える事例が増えているという。それも無理からぬことかもしれない。
85点
川崎草志(角川書店)

 ゲームソフト会社で働く汐路。彼女の会社で無理心中事件が起こり、やがて退職した彼女は、事件の謎を解くべく実家へと舞い戻る。

 ゲーム制作の裏話やら、目の錯覚を利用した建築手法やら、興味を惹かれるところは多い。だが肝心の謎解きの部分がさらっと流れてしまい、消化不良の感が否めない。
 それと汐路がよく独り言をつぶやくのだが、セリフに無理があると思った。不自然で下手。
60点
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