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よしなしごとども 書きつくるなり
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萩原葉子(小学館)

父親が亡くなり、その娘・ふたば(←漢字が出ない)は叔父たちの手によって財産を奪われてしまう。さらに戦争が暗い影を落とす中、結婚によってしあわせになろうとするふたばだったが、夫・和夫は暴君と化す。
詩人・萩原朔太郎の長女である筆者の、自伝的小説。

「蕁麻の家」はずいぶん前に読んで内容はよく覚えていないが、その悲惨さに度肝を抜かれたことだけは心に残っている。その続編である本作品もまた救いがない物語であった。
どうしてこんなに狡い人でなしばかりが筆者の周りに集結しているのか。
詐欺まがいの手法で父・朔太郎の著作権を奪う叔父。口汚くふたばを罵る叔母たち。
自らのコンプレックスからふたばに暴力三昧の夫。
特に夫の和夫は通訳というインテリジェンスに富む職業に就きながら、出自に異常な負い目を感じていて妻につらくあたる。
プライドが高すぎる夫というのは本当に厄介だ。あらゆることを猜疑の目でみてくるし、妻を敵対視することが止められないのだ。

唯一、この小説で温かさを感じたのは、朔太郎の友人である三善琢治(三好達治だと思われる)の存在である。ふたばと会い、著作権や彼女の生活について心配し助言するシーンは、本当に優しさにあふれていた。
95点

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