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よしなしごとども 書きつくるなり
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花村萬月(文藝春秋社)

 これが芥川賞受賞作……過剰にエロでグロ。思わず読み飛ばしたくなるシーンあり。でも文章は細部まで考え抜かれているという感じを受ける。職人芸という意味で谷崎潤一郎を思い出した……のは私だけだろうな。何年も日本語を勉強してぺらぺら話せるようになった外国人でも、この文章は書けないだろう。
 筆者は以前、本の雑誌「ダ・ヴィンチ」でエッセイを連載していた。それを読んだときも、内容は別として「頭いいな、この人」と思った。
70点
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帚木蓬生(新潮社)

 つい最近まで名前すら知らなかった作家だが、読ませる読ませる。出だしの部分、脈絡のない話が続いて疑問に思ったが、後になってそれは効果的な伏線だったとわかる。
 ニュース等で殺人犯が「誰かの声に命令されてやった」と供述している、なんて話をたまに聞くが、私はそのたびに不審に思っていた。
 が、この本を読んで、その言い分を少しは信じる気になった。精神を病んでゆくってのはこういうことなのね……と納得させられた。
 大団円の裁判の部分が、泣かせる。チュウさんの善良な性格が際立つ。こういう救いのあるラストは、読後感も爽やかで良いと思う。
85点
林真理子(集英社)

 34歳の映子は、結婚して六年になるが、子供に恵まれない。夫は優しい人ではあるが、平凡な生活に、ふと不安がよぎることがある。
 「このまま、片田舎で年を取ってゆくだけなのだろうか」と。
 そんなある日、彼女は東京の出版社に勤める渡辺という男性と出会う。やがて二人は惹かれあい……。

 既婚の同年代の女性なら、誰しも映子のような思いに囚われることはあると思う。もう異性からは相手にされない、そんな焦り、悲しみ。
 そして不倫をする女性の誰しも、自分のケースだけは不倫などという猥雑な言葉でくくって欲しくないと考えるような気がする。
 映子は、いわば女性たちの、そんな想いを代弁してくれているのかもしれない。ただ、終盤はありがちな展開で、工夫が足りないと思った。
65点
林真理子(小学館)

 30代になったばかりの沙美は、広告代理店から化粧品会社のPR担当に転身する。そこで彼女は自らの才能を開花させ、次々に困難を乗り越えてゆく。

 主人公が仕事にのめり込んで、無難な彼との結婚さえ蹴ってしまうところなどが痛快であった。
 だが、化粧品業界のどす黒い内幕や、身勝手な男たちの言い草や、読んでいてあまり愉快でない部分が多かった。
 主人公の沙美も、高慢ちきで計算高く、知り合いにはなりたくないタイプである。
50点
原田宗典(集英社)

 「しおしおのぱー」なんてまるで意味不明だが、そのニュアンスは正確に伝わってくる。この人のエッセイは笑える。
 お薦めは「世にも涼しい医者物語・あるいは血も凍る体験」。おできができて皮膚科に行ったら、麻酔無しでいきなり切開されて気絶してしまった、という話。
 ほんと医者だけはコワイ。次にどんな攻撃(?)されるかわかんないんだもん。
75点
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