川上未映子(文藝春秋社)
エッセイ集。
句点がない、長い長い文章があったりするが、不思議と読みやすかった。筆者には嫌がられそうだが、物事を考える順序が似ているのかもしれない。
内容も面白かった。ぐずる子どもを一瞬で笑いのるつぼに叩き落とすワザ、とか。ベルリンの小熊・クヌートに関しての考察、とか。特に「!」と思ったのは、太宰治の小説についてのくだり。
「太宰治の文章を再読すれば、どこも、一文字も、何にも、変えられない。……(略)『単語全員』が同時に安堵しているよう」。
どんなに何げないシーンでも手を抜いてる感がまったくない、隙のない、それゆえ息苦しくなるような太宰の文章。彼の選択は唯一無二、まったく同感である。
90点
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