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よしなしごとども 書きつくるなり
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川田茂雄(宝島社)

 カメラ製造会社のクレーム処理をしていたかたのドキュメント。
 世の中には、いろんな苦情を言う人がいるのだなぁと、本当に感心してしまった。これだけ強い態度で企業に立ち向かえるなんて、ある意味羨ましささえ感じた。
 写真というのは、金銭には変えられない部分もあるものだし、苦情をいうほうがエキサイトするのも理解できなくはない。しかし明らかに過剰な賠償を求める人というのは、何やら浅ましい感じがして、その神経を疑ってしまった。

 多種多様な例が載っていて興味深く読むことができたが、話を繰り返している部分がけっこうあり、後半は飽きてしまった。
65点
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川端裕人(角川書店)

 世界中にファンを持つゲームソフトの開発者である巧。彼は自ら設立した会社を辞し、セキュリティ関連の仕事をこなしていた。
 そんな彼に、悪質なクラッカーの正体を暴いて欲しい、との依頼が舞い込む。容易に思えた仕事が、やがて予期せぬ展開を見せ始め……。

 かなり読むのがつらかった。インターネットについての説明が長すぎる。それなくしては成り立たない話だというのは分かるのだが、専門書ではないのだから、もう少し簡略化して書いて欲しかった。だいたい「メイル」、「ディジタル」等の表記が鼻について仕方がなかった。
 それから随所に出てくる「指輪物語」と「ゲド戦記」。これらの内容を全く知らないので、つまらなさ倍増であった。
40点
川端康成(筑摩書房)

 短編集。
 川端康成が怪談を書いていたとはつゆ知らず、自分の不勉強を恥じるばかりだが、彼は生涯にわたり「心霊」と「性愛」というモチーフを追い求めたのだそうだ(解説より)。

 『無言』が面白かった。
 一言もしゃべらなくなった老小説家の見舞いに行く、やはり作家の三田。彼は老作家に、話せないのなら筆談したらどうかと提案するが、老作家は何の反応も示さない。彼の沈黙に三田は苛立つが……。
 ラストの運転手のセリフがいい。ぞっとさせられ、やがて考えさせられる。
 他に、掌編の『心中』『霊柩車』も妖しくて残酷で心に残る作品だった。
75点
川端康成(新潮社)

 主人公の信吾は、老妻と息子、その嫁とで暮らしていた。そこへ娘が嫁ぎ先から子供連れで出戻ってきて、落ち着かない日々を送ることになる。
 しかも息子は外に愛人がいるようで、信吾は可憐な嫁が不憫でならない。

 やはり、たまにはこういう名作を読むべきだとつくづく思った。一字一句、疎かにしたくない気持ちにさせられた。
 信吾の見た「夢」の話がしばしば登場し、普通なら辟易するところだが、そういう部分さえ精読してしまったくらいである。
 昭和二十年代、人々は今よりずっと不便な時代を生きていたはずであるが、風雅な感情を忘れず、美しい日本語でそれを表現していたのである。
90点
神林長平(早川書房)

 中・短編が六作品収められている。
 これぞSF、というにおいの強い作品ばかりである。近未来のような設定、仮想と現実が入り混じる世界。純然たるSFモノを久々に読んで、懐かしさを感じた。

 六編の中では比較的分かりやすかった「意識は蒸発する」を紹介しよう。
 コンピュータの仮想空間へダイビングする実験をしている「わたし」。気が付くと、入国管理事務局の前に佇んでいた。空気もあり建物もあるが、そこは完璧に無人の世界であった……。
 ラストの「わたし」の気付きが、この作品の結論であろうか。現実世界においては「わたし」の意識はやがて消えてなくなる。どこかしらに保存されることは、ない。その確信を得た彼は、世界を、人生を達観したかのようである。
60点
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