忍者ブログ

真珠夫人

菊池寛(文藝春秋社)

 男爵の娘、瑠璃子は、些細な事件によって成金の荘田に恨みを買う。
 荘田は金に物を言わせて瑠璃子と結婚するが、まもなく他界する。未亡人となった彼女は、美貌と知性で言い寄る男たちを翻弄する。

 ひと言で言うなら、通俗小説である。展開は目まぐるしく、過剰な表現が多い。
 だが、この面白さはどうだろう。理屈をこねる前に、力技でねじ伏せられたような感がある。
 私の中にあった今までの「菊池寛」像を、良い意味で打ち破る作品であった。
75点
PR

ピーヒャラドンの謎

如月小春(婦人生活社)

 劇作家・演出家である如月小春さんの子育てエッセイ。38歳で第一子「茉莉」ちゃんを産んだ筆者の、とまどいやうれしさが痛いほど伝わってくる。

 エッセイの出だしのひと言、
 「なんでうちに、こんなのがいるんだろう?」
 というのは、私も何かに付け思ったことだ。今までの静かな生活はいずこへ、と。
 やがて彼女は働くママになる。子育てと仕事の両立に悩んだり、子連れに理解の無い世間に怒ったり、それはもう私も通ってきた道なので、共感しまくりなのであった。
 そして次のひとことは涙なしには読めなかった。
 「今は、こうして抱きしめていよう。抱きしめていられる幸福に浸っていよう」
 彼女は44歳という若さで急逝されたのだ。きっといつまでだって抱きしめていたかっただろう、まだ幼い娘を。
80点

カレンダー

10 2025/11 12
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 8
9 10 11 12 14 15
16 17 18 19 20 21
23 25 26 27 28 29
30

カテゴリー

フリーエリア

最新コメント

[11/23 まきまき]
[11/23 もか]
[11/10 まきまき]
[11/09 もか]
[11/02 まきまき]

プロフィール

HN:
まきまき
性別:
女性

バーコード

ブログ内検索

P R

カウンター

アクセス解析