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よしなしごとども 書きつくるなり
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清水義範(講談社)

 短編集。出産、就職、家や墓の購入など、人生の転機が題材になっている。
 姑の介護をするはめになった嫁の心情を描いた「ほとけさま」。
 就職試験の面接での悲喜劇を描いた「御社に惚れました」。
 などなど、軽くて重いテーマの短編集である。
 主人公たちはみんな真面目に、懸命に生きているのに、あまり報われない人が多い。そうやって「人生うろうろ」しながらも、まぁ絶望もせずに生きていければ良いじゃないか……そんなため息まじりの人生観がうまく表されていると思った。
60点
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朱川湊人(新潮社)

 アカシア商店街にまつわる七つの連作短編集。
 優秀な兄と身体が弱い弟。その弟の死を予告するような貼り紙が見つかる。学帽を被った、おかしな少年の仕業らしい。弟は家の近所でその少年に出会うが……『夏の落し文』。
 妖怪のような学帽の少年、喘息発作、天狗の落し文の言い伝え、と背筋がヒヤリとするような描写がいろいろ出てくる。自分が子どもの頃に感じた、得体の知れないものへの恐怖がまざまざと蘇ってきて、息苦しいほどだった。
 他の短編もどこか懐かしく良い味を出しているのだが、いかんせん既読感を感じさせるものが多かった。
75点
首藤瓜於(講談社)

 生まれつき感情を持たない男「鈴木一郎」が主人公。彼はコンピュータのようにただ物事を寸分違わず記憶するが"関連付け"ができない。原因と結果が結びつかない。そんな彼がある事件から連続爆破犯人に命を狙われるようになり、やがて彼が入院していた病院を舞台に爆破犯人との対決が始まる……。

 主人公以外の登場人物は皆聞いたこともないような名前で、特殊な特別な彼だけが鈴木一郎(もっとも本名は違うが)。そのココロは?「普通の人間になりたいという彼の内なる欲求の表現」かしら。
 ラストの夢の話がじんわりと良かった。蛇足の反対(って何て言うの?)。
95点
殊能将之(講談社)

 若い女性が次々に殺される。死体の喉にはハサミが突き刺さっていたため、犯人は「ハサミ男」と呼ばれるようになる。そして彼が三人目の犠牲者を決めたところから物語は始まる。
 犯人の目から語られる部分が多く、そこがリアルで不気味。
 話は逸れるが、私が妙に納得したのはピンクハウス禁止条例のくだり。ごく一部の人だけど、全身ピンクハウスの勘違いおばさんって確かにいる。何かが捨てられない女性なんだろうなぁ。いや、何かを捨ててる女性か?

 閑話休題。
 ラスト近くのどんでん返し、恐れ入りました。え? これって誰のセリフ? ということは、このハサミ男って……。読んだ本はめったに読み返さない私が、読み終わって即、再読。そのくらい衝撃的なラスト。
 ただ残念だったのは、時々出てくる場違いな比喩。ちょっと興醒め。降ってくる雪をさして、踊る天使からこぼれ落ちた羽毛って……あり?
85点
東海林さだお(文藝春秋社)

 久々にショージ君モノを買ってみた。高校生の頃ハマって読んでいた時期があったのだが、次第に飽きてずっと読んでなかったのだ。
 軽妙な語り口は変わっておらず、面白さがマンネリ感を吹き飛ばしてくれる。
 でも何より驚いたのは巻末にあった対談。ショージ君、文面から察するに、小心な気弱男なのかと思っていたのだが、けっこうキツい方らしい。
 ……二十年来誤解しておりました。それとも最近そういう人になったのでしょうか。謎は深まるばかりです。
70点
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