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よしなしごとども 書きつくるなり
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司馬遼太郎(新潮社)

 十五巻にのぼる随筆集の第一巻。1953年からの8年間の記録。
 歴史小説が苦手なので、司馬氏の本はこれが初めてであった。とても面白く読めた。

 短文が多いなか、ちょっと長めの「家康について」が良かった。歴史に疎い私でも、ちんぷんかんぷんになることもなく、飽きずに読めた。
 信長が現代に生きたとしたら前衛芸術家となり、秀吉は政治家、家康は高級官僚になったに相違ない……そんな想像に興味をかき立てられた。
 うってかわって、下戸の悲哀を描いた「わかってください 酒を飲む苦しみを…」というエッセイはとても愉快だった。上戸の奥様とのやりとりが絶妙。
70点
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島田荘司(集英社)

 1888年、ロンドン中を震え上がらせた「切り裂きジャック」。百年の時を経て、ベルリンで同様の事件が起きる。二つの事件は関係があるのか、ないのか。

 百年前の事件は迷宮入りしているが、本書はその謎をも解いている。犯人の動機は非常に意外なもので、でもありえなくはないと思わせる、説得力のあるものであった。
 しかし、現代に同じような事件が、同じような原因で起こるという部分は、少々無理があるのでは。どうせなら、動機が全く違ったものだったら、もっと驚かされたのでは? と思うのだが。
70点
島村洋子(角川書店)

カリスマ的人気を誇る橘リリカ。忙しい彼女に代わってリハーサルなどで代役を務めていた藤村しのぶ。彼女も元アイドルだったが鳴かず飛ばずで、失意のうちにその職業に就いたのだった。
 そんなこととは知らずにしのぶを振り回すリリカ。やがてしのぶの憎悪は頂点に達し……。

 前半の設定が分かりづらかった。誰のことを書いているのか、判然としないのである。
 そしてラストのクライマックスが、まるでB級ホラー映画のようであった。無意味に人が死んで後味が悪い。
50点
志水辰夫(新潮社)

 元教師の波多野は、失踪した教え子を探しに上京する。教え子には男性の影があったようだが、その男性というのは波多野が以前勤めていた学園の関係者らしい。学園で今、きなくさい何かが起きていることを彼は知るのだった……。

 1991年度の「このミス」一位ということで期待して読んだが、これは感想を書くのが難しい。恋愛やら暴力やらいろいろな要素があって飽きずに読むことはできた。だが、いかんせん主人公がキザ過ぎる。もし自分の知り合いだったら引くこと間違いなしの言動が多々あった。
 文庫の解説者は「志水節を味わうだけで幸せな気分になる」と書いているが、私は逆に志水節にはちょっと鼻白んだ。
55点
清水義範(講談社)

 普通の大人が、普通の文章を書くためのコツを指南しているのが本書である。
 この手の本を初めて読んだが、けっこう面白く読むことができた。なるほど、と感心させられる部分がたくさんあった。
 たとえば。
 ・公人として不特定の人に対して語りかけるなら「だ・である」体を使ったほうが良い。
 ・謝罪文は長々と弁明を書いても良い。そのうえで心をこめてお詫びするが良い。
 などなど。
 そして一番印象的だったのは「女性の随筆は、自分の感性自慢」という一文。筆者は続けて「いやがられないようにうまく言ってしまうのが随筆の醍醐味」とも書いている。
 ネットでもその類いのエッセイをよく見かける。嫌味にならないように気を付けたいものである……と自戒を込めて書いておこう。
70点
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