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よしなしごとども 書きつくるなり
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渡辺淳一(文藝春秋社)

 短編集。駅のキオスクで買って、出張先までの車中で読むサラリーマン……読者層はそのあたりか。

 「酔いどれ天使」。飲み出したら止まらない克彦。妻が妊娠四ヵ月のとき、友人から「酩酊児」の話を聞き、不安に襲われる……。
 オチは効いているが、なんともイヤな話だ。妻の人間性を疑ってしまった。

 「乳房切断」。乳がんと診断され、片方の乳房を切断した女性。数年後、それは誤診であったことがわかる。
 因果応報がテーマだろうか。それにしても犯した「罪」よりも受けた「罰」のほうがはるかに重い気がするが。
60点
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筑摩書房

 「高校生のための」とタイトルにはあるが、けっこう内容は難しい(私のレベルが低いということもある)。70おさめられている随筆、短文はさほど難解ではないが、別冊になっている「表現への扉」が難しいのだ。
 というわけで、本文を鑑賞するだけでも「あり」だと勝手に断定。

 野坂昭如・著「火垂るの墓」、K・チャペック「園芸家12カ月」など、以前読んで惹かれた作品はやはり抜粋でも面白く、初めて読んで、全部を読みたくなったものもいくつかあった。
 読書案内、興味を引き出すという意味でも、本書は良書といえるだろう。
70点
平凡社

 太宰の短くも激しかった一生を、たっぷりの写真と作品からの抜粋でたどる。
 まず、太宰に宛てた三通の手紙にやられた。書き手は町田康、伊藤比呂美、室井滋。きっと太宰ファンは皆「我こそはファンの中のファン。その情熱は誰にも負けない」と思っているのかもしれない。
 そして太宰の自殺後の追悼文に、またやられた。田中英光、石川淳、坂口安吾……。皆彼の死を惜しみ、悲しみ、怒りさえ表している。彼の作品に、いや一言一句に魅入られた者にとって、その死はあまりに重かっただろう。

 芥川龍之介が自殺しなかったら、腹膜炎を患わなかったら(それから麻薬性鎮痛剤を常用)、女性にまったくモテなかったら……彼の人生を狂わせたすべてが、憎い。
90点
7人の特別講義プロジェクト&モーニング編集部(講談社)

 「なぜ学び、なにを学ぶのか」に、七人の講師が答える。16歳の「君」へのメッセージ……。

 まず「国語」が面白かった。講師は金田一秀穂氏。情緒を切り捨てて、事実と論理だけで文章を組み立てるトレーニングをしよう、という話。
 うれしい、美しい、さびしい、ウザい、等々の「印象」は不要、自分の気持ち以外のものを言葉にしようと氏は語る。ついごてごてと言葉を装飾したくなる自分にとっても、目からウロコな話であった。

 逆に「?」だったのは「心理」。講師は石井裕之氏。
 環境(部屋や服装)を変えて、潜在意識に「成功するに決まっている」と勘違いさせる、という話。潜在意識ってそんなに馬鹿なのか? という疑問が拭えなかった。
70点
朝の読書推進協議会 編(メディアパル)

 本との出会いのすばらしさを、作家が紹介している。
 宮部みゆき氏の部分が読みたくて買ってみたのだが、ほかにも鈴木光司氏、島田荘司氏、田辺聖子氏など、そうそうたるメンバーが執筆されている。

 特に心に残ったのは「空想科学読本」の著者である柳田理科雄氏の話。
 「読書は、スポーツや恋のようなものだ。やったから偉いわけでもなく、やらなくても困りはしない。が、経験してみれば、その人にしか味わえない喜びを見つけられる」。
 この喜びを味わおうともしない人が、世の中にはたくさんいる。私は読書を勧めはしないが(やっぱりつまらない、と文句を言われるのがオチだから)、本なしではいられない私のような人間からしたら、信じられないことである。
55点
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