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よしなしごとども 書きつくるなり
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ナンシー関(角川書店)

 公式ホームページ「ボン研究所」に書かれていたコラム集。
 三年も前の話から始まってるので、ちょっと懐かしい感じもするのだが、その頃から山田○子はズレていたんだとか、華原○美は痛かったんだとか、今読んでも色あせない(?)話は多い。
 ひとつ、私もまったく同じことを考えていた、という話が載っていた。良い声の男性についての考察。その声で「愛してるよ」も言うし「トイレに紙ないよ」も言うという事実に、それでいいのか? という疑問がどうしても湧いてくるのである。良いも悪いもない話なのだが。

 ※2003年9月現在、ホームページは公開されていて、この本のコラムはそちらで読むことができる。
75点
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西川美和(ポプラ社)

 家業を継いで実家に残った兄・稔。地元を離れて東京でカメラマンになった弟・猛。法事で久しぶりに故郷に帰った猛は、幼なじみである智恵子と再会する。そして三人でドライブに出掛けたとき、事件は起きた……。

 各章ごとに語り手が変わるのだが、その色の変え方がとてもうまい。ワルぶって尖がっているが、ことが起きると保身にはしる猛。優しくて温厚だが、実は得体の知れない何かを隠している稔。二人のひと言ひと言が、その内面を見事にあぶりだす。
 脇役たちの章も、それぞれに良かった。息がつまりそうな田舎で不満を抱えつつも、穏やかに、身の丈にあった生活を送る人々。だが彼らの「日常」も案外もろい。その危うさを、筆者は冷徹な目で描き出している。
85点
西澤保彦(講談社)

 富豪の源衛門は、孫娘りんの動静を探るため一人の男を彼女の元へ送り込む。その男、山吹みはるは不思議な能力を持つ男だった。彼と会話を交わしたものは、本人も忘れていた事柄を思い出し、さらに深い考察をすることになり、思いも寄らぬ事実を発見するのだった。

 変わった設定で面食らったが、みはるの性格の良さゆえか、読む気が失せるということはなかった。
 みはるは何もしてないのに、事件の真相が次々に明らかになってゆく過程は爽快感があったが、同時に登場人物が多すぎてくどい感じも受けた。
80点
新田次郎(新潮社)

 登山仲間である蜂屋と木暮。二人は八ヶ岳で、千穂という女性と出会う。
 彼女は、女流登山家は不細工である、という定説を覆す美女であった。だが彼女はまれに見る自分本位な人間であった。
 二人の男は、彼女に振り回されつつも、彼女に惹かれてゆく……。

 鼻持ちならない千穂にイライラし通しだった。
 彼女の学生時代のライバル、美根子という女性が登場するが、彼女は不倫していたり、好きな男性を姑息な手段で手に入れようとしたりする。
 でも千穂の性格よりまだ彼女のほうがマシな気がした。
 ところで、木暮が登山に向かう蜂屋に、ナイロンザイルを渡そうとするシーンがある。蜂屋は「前穂高でナイロンザイルの切断事故があった」という話をする。
 これは先日読んだ井上靖の「氷壁」のことであろう。
 作品どうしがこういうふうに繋がってゆくのはとても興味深い。
60点
貫井徳郎(文藝春秋社)

 牧師の息子である早乙女は、幼い頃から神について深く考えを巡らすことが多かった。なぜ神は永遠の沈黙を守るのか。神は人間を創り、そして見捨てたのか。福音を聞くにはどうしたらよいのか……。彼の疑問は膨れ上がり、やがて暴走し始める。

 裏表紙に「殺人者への道」とあったので、早乙女が殺人を犯すということは予想はついていた。だがそのシーンはあまりに唐突に出現し、しかもかなり残酷だ。彼は客観的に見た場合、ただの人格破綻者だが、彼の裡には筋道だった理屈が存在するからタチが悪い。
 さて、この作品は全編を通じてキリスト教についての言及があるが、遠藤周作の作品と比較すると、それは踏み込み不足である。
 トリックの点でもあまり上手とは言えない部分があった(同じような人物名を使っているところなど)。
 ただ牧師の犯罪という設定はかなり興味深かった。
70点
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