西川美和(ポプラ社)
家業を継いで実家に残った兄・稔。地元を離れて東京でカメラマンになった弟・猛。法事で久しぶりに故郷に帰った猛は、幼なじみである智恵子と再会する。そして三人でドライブに出掛けたとき、事件は起きた……。
各章ごとに語り手が変わるのだが、その色の変え方がとてもうまい。ワルぶって尖がっているが、ことが起きると保身にはしる猛。優しくて温厚だが、実は得体の知れない何かを隠している稔。二人のひと言ひと言が、その内面を見事にあぶりだす。
脇役たちの章も、それぞれに良かった。息がつまりそうな田舎で不満を抱えつつも、穏やかに、身の丈にあった生活を送る人々。だが彼らの「日常」も案外もろい。その危うさを、筆者は冷徹な目で描き出している。
85点
家業を継いで実家に残った兄・稔。地元を離れて東京でカメラマンになった弟・猛。法事で久しぶりに故郷に帰った猛は、幼なじみである智恵子と再会する。そして三人でドライブに出掛けたとき、事件は起きた……。
各章ごとに語り手が変わるのだが、その色の変え方がとてもうまい。ワルぶって尖がっているが、ことが起きると保身にはしる猛。優しくて温厚だが、実は得体の知れない何かを隠している稔。二人のひと言ひと言が、その内面を見事にあぶりだす。
脇役たちの章も、それぞれに良かった。息がつまりそうな田舎で不満を抱えつつも、穏やかに、身の丈にあった生活を送る人々。だが彼らの「日常」も案外もろい。その危うさを、筆者は冷徹な目で描き出している。
85点
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