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ずいぶんなおねだり

東海林さだお(文藝春秋社)

 久々にショージ君モノを買ってみた。高校生の頃ハマって読んでいた時期があったのだが、次第に飽きてずっと読んでなかったのだ。
 軽妙な語り口は変わっておらず、面白さがマンネリ感を吹き飛ばしてくれる。
 でも何より驚いたのは巻末にあった対談。ショージ君、文面から察するに、小心な気弱男なのかと思っていたのだが、けっこうキツい方らしい。
 ……二十年来誤解しておりました。それとも最近そういう人になったのでしょうか。謎は深まるばかりです。
70点
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愛のひだりがわ

筒井康隆(岩波書店)

 父親は失踪し、母親とも死別した少女、月岡愛。
 彼女は左腕が不自由というハンディキャップを持ちながらも、父親探しの旅に出る。

 設定は近未来だろうか。現在より環境破壊の進んだ世界のようである。
 人々の心もすさみ、警察さえその機能を果たしていない。
 そんな暗い設定だが、少女の子供らしい負けん気や、脇役陣、ことに犬たちの大活躍が爽快で、読後感は悪くない。
 ……氏の著書「わかもとの知恵」の裏ワザが出てくるのはご愛嬌か。
70点

うさぎのミミリー

庄野潤三(新潮社)

 エッセイ。庄野氏とその奥様の、静かな日常を描き出す。
 子供たちが巣立った後、残された老夫婦。でも二人にはさびしさというものはあまり感じられない。
 庭にやってくる小鳥たちに目を細め、子供たちと連絡しあっては、何くれとなく近況を伝え合う。そんな穏やかで情趣に富んだ日々に、心から満足している様が伺えるからであろう。

 それから特に心に残ったのが、敬語である。奥様は「ばら、一つ咲きました」「シジュウカラ、来ました」といつも庄野氏に敬語で語り掛ける。それがとても品良く美しく感じられた。
 ただひとつの難点は、繰り返しの話が多いことである。気の赴くままに書かれているのであろうが、もう少し重複部分を削って欲しかった。
65点

わかもとの知恵

筒井康隆(金の星社)

 「強力わかもと」に付いていたという小冊子。そこに掲載されていた生活の知恵と、他に「伊東家の食卓」で紹介された裏ワザなども。

 知らなかった「知恵」は、とっても得した気分になる。「いつかこれを使うぞ」と心に誓った。
 たとえば「めり込んだトゲをぬく知恵」、「庭一面の雑草を始末する知恵」。
 イラストも昔っぽくて内容に合っている。「よゐこのみんな、ためしませう」という雰囲気。
65点

夜市

恒川光太郎(角川書店)

 今宵は夜市が開かれる……幼いころ、その夜市で野球の才能を買った祐司。ひきかえに弟を売った彼は、はたして弟を取り戻せるのか。

 当たり前ではない世界のことを、ここまで当たり前っぽく書ける筆力には驚いた。そしてストーリー展開の巧みさにも。
 祐司と一緒に夜市に入ってしまったいずみの運命は? 謎の老紳士の正体は? そして何より、彼の弟はどこにいるのか?
 すべての謎は、より合わさって一本の糸になり、やがて解きほぐされる。これをカタルシスと言わずして何と言おうか。

 不思議な夜市は今夜もどこかで……そんな気持ちにさせてくれる一冊であった。
85点

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