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ループ

鈴木光司(角川書店)

 ウィルス性のガンが爆発的勢いで流行し始めた地球。その病の謎を解くべく、一人の青年がアメリカへと旅立つ。

 「リング」「らせん」とどう繋がるのかなぁと思っていたら、そういうことか。どういうことかと言うと……一番重要な設定をここに書くと、即ネタバレなのでほとんど何も書けない。まぁとにかくとてつもなく深淵な話になったものだ。
 キーワードは「神」あるいは「創造主」。諸行無常の響き有りとでも言っときますか。
80点
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そして殺人者は野に放たれる

日垣隆(新潮社)

 刑法39条「心神喪失者の行為は、罰しない」
 この一文を盾に、悪意の犯罪者が罪を償うことなく娑婆に出てくる恐怖……。

 文庫本の帯にこうある。「無罪判決」その時、殺人者はニヤリと笑った。
 売らんかなの惹句かと思ったら、どうやら事実らしい。
 80年の新宿バス放火殺人事件、82年の深川通り魔殺人事件の両被告は、判決の瞬間に笑ったというのだ。精神異常者のふりをすれば刑を免れる、まさにしてやったりの笑顔。恐ろし過ぎる。
 また飲酒や覚せい剤による酩酊状態で罪を犯したときは、心神耗弱とみなされて刑が軽減されるという。加重ではなく軽減? まったく信じ難いことである。
 一刻も早くこのような悪法を改正し、少しでも被害者が救われるようにして欲しいものである。
70点

リング

鈴木光司(角川書店)

 日本のホラー界もこの本くらいから活気が出てきたように感じられた。その後でた本は「リング」より怖いとか、「リング」を凌ぐとかそんな広告を見かけるようになったから、やはり引き合いに出されるということは、面白いということの証明であろう。
 この作品で最も吸引力があったのはその設定ではないだろうか。ビデオを見たら死ぬという、この設定が上手いと思う。そんなばかなと思いながらも、リアリティのある文章に惹きこまれた。
85点

黒笑小説

東野圭吾(集英社)

 短編集。『臨界家族』が良かった。
 哲也の四歳になる娘・優美は、あるアニメが大好き。それのキャラクターグッズをおねだりしては親を困らせていた。次々に売り出される新商品、哲也は買うことを拒否するが……。

 こんなに親の気持ちが痛いほど分かるテーマも珍しいかも。安易におもちゃを買い与えたくはない。でも周りがみんな持っているのに、ウチの子だけが持っていないという状況はつら過ぎる。そんな親心を徹底的にリサーチする企業。これはノンフィクションかもしれない、と思ってしまった。
 その他、鳴かず飛ばずの作家の悲哀を描いた作品がいくつかあったが、いずれももうひとひねり欲しい内容であった。筒井康隆氏ほどの毒もなく、かといって星新一氏ほどの軽やかさもなく、中途半端な印象。
65点

図書館の神様

瀬尾まいこ(マガジンハウス)

 主人公の清(きよ)は、赴任先の高校で文芸部の顧問になった。興味もヤル気もない清だったが、たったひとりの部員である垣内君と接しているうち、次第に何かが変わり始めるのだった……。

 前半、清の苦い思い出話が語られる。高校生のとき、部活仲間だった女の子を自殺に追いやったこと。この部分を読んだだけで、私はたまらない気分になった。清のような、脳みそ筋肉な人間が、心の底から嫌いだからだ。
 そして講師になってからの清もいだたけない。不倫の恋をする彼女。それ自体は否定しないが、相手の男性がいけない。利己的な、ただの優柔不断男なのである。こんな男性に魅力を感じるなんて信じ難い。
 主人公の悪口はこれくらいにして……垣内君が素直でユニークな性格なので、その点だけが面白く読めた。
60点

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