Back To The Past
よしなしごとども 書きつくるなり
牛への道
宮沢章夫(新潮社)
二頁前後のエッセイ集。
筆者は、きっと日常の「くだらないこと」を愛してやまない方なのであろう。
こんなことをわざわざ書くのもナンですが、書かずにいられないのです……そんな筆者のつぶやきが聞こえてくるような作品集である。
しかしながら、笑える話、共感できる話と、全然面白くない話、オチがない話の落差がありすぎではある。
75点
二頁前後のエッセイ集。
筆者は、きっと日常の「くだらないこと」を愛してやまない方なのであろう。
こんなことをわざわざ書くのもナンですが、書かずにいられないのです……そんな筆者のつぶやきが聞こえてくるような作品集である。
しかしながら、笑える話、共感できる話と、全然面白くない話、オチがない話の落差がありすぎではある。
75点
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誰か
宮部みゆき(実業之日本社)
大企業の会長付きの運転手だった梶田が、自転車にひき逃げされて死亡する。彼の二人の娘は、父親の無念を晴らすべく、本を出版することを思い立つ。
その手助けをすることになる編集者の杉村。彼は、前述の会長の娘婿であった。
ひと言で表現するなら「そつのない作品」ということになるだろう。富めるものと、ごく中流庶民との対比、性格の異なる姉妹の対比。それを生かす、無理のないストーリー展開。安心して読めた。
だが、それゆえ何だか物足りなかった。意外性が、あまりないのだ。たとえば着メロの部分など、みえみえの展開であった。
70点
大企業の会長付きの運転手だった梶田が、自転車にひき逃げされて死亡する。彼の二人の娘は、父親の無念を晴らすべく、本を出版することを思い立つ。
その手助けをすることになる編集者の杉村。彼は、前述の会長の娘婿であった。
ひと言で表現するなら「そつのない作品」ということになるだろう。富めるものと、ごく中流庶民との対比、性格の異なる姉妹の対比。それを生かす、無理のないストーリー展開。安心して読めた。
だが、それゆえ何だか物足りなかった。意外性が、あまりないのだ。たとえば着メロの部分など、みえみえの展開であった。
70点
R.P.G.
宮部みゆき(集英社)
ネット上で擬似家族を演じていた四人。その「おとうさん」が死体となって発見される。警察は残った三人を取調室に呼び、「おとうさん」の実の娘に、三人を面通しさせるが……。
仮想の世界に救いを求める人々。それは決して間違ったことではない。しかし、とこの作品は主張する。仮想世界に逃げ込んで「現実」をあだやおろそかにするなかれ、と。
それから「クロスファイア」の石津刑事、「模倣犯」の武上刑事が登場する。二人が心情を吐露する場面は、両作品を既読の場合のほうが、より心に響くであろう。
ひとつ苦言を呈するなら、一美が携帯電話を使うシーンには疑問を感じた。署内で電話、しないでしょう。
75点
ネット上で擬似家族を演じていた四人。その「おとうさん」が死体となって発見される。警察は残った三人を取調室に呼び、「おとうさん」の実の娘に、三人を面通しさせるが……。
仮想の世界に救いを求める人々。それは決して間違ったことではない。しかし、とこの作品は主張する。仮想世界に逃げ込んで「現実」をあだやおろそかにするなかれ、と。
それから「クロスファイア」の石津刑事、「模倣犯」の武上刑事が登場する。二人が心情を吐露する場面は、両作品を既読の場合のほうが、より心に響くであろう。
ひとつ苦言を呈するなら、一美が携帯電話を使うシーンには疑問を感じた。署内で電話、しないでしょう。
75点
模倣犯
宮部みゆき(小学館)
公園のゴミ箱から、女性の右腕が発見される。それを皮切りに次々殺人事件が起きる。
上下巻、千四百ページ、しかも二段組、をたったいま読み終えて、ちょっと放心状態です。しかもその長さを感じさせないストーリー。いや、正直に言うと下巻に入ってからは講釈が多くて、ちょっとダレた。
小説のかなり早い段階で、誰が犯人なのかが書かれている。だから読んでいるほうも「危ない、そいつに近付くな」「うわっ、ばか!そんなことやってる場合か」なんて、ハラハラし通し。
そして、宮部氏の作品はいつもそうなのだが、人物描写があまりにリアルで「真一君、元気だしなよ」「ヒロミ、あんただけは許せないぜ」なんて、どっぷりと浸ってしまう。
ラスト近く、タイトルの「模倣犯」が強烈に生きてくるシーンはかなり痛快で、この長編をここまで読んだ者だけが味わえる醍醐味ね、とひとり悦に入ってしまった。
85点
公園のゴミ箱から、女性の右腕が発見される。それを皮切りに次々殺人事件が起きる。
上下巻、千四百ページ、しかも二段組、をたったいま読み終えて、ちょっと放心状態です。しかもその長さを感じさせないストーリー。いや、正直に言うと下巻に入ってからは講釈が多くて、ちょっとダレた。
小説のかなり早い段階で、誰が犯人なのかが書かれている。だから読んでいるほうも「危ない、そいつに近付くな」「うわっ、ばか!そんなことやってる場合か」なんて、ハラハラし通し。
そして、宮部氏の作品はいつもそうなのだが、人物描写があまりにリアルで「真一君、元気だしなよ」「ヒロミ、あんただけは許せないぜ」なんて、どっぷりと浸ってしまう。
ラスト近く、タイトルの「模倣犯」が強烈に生きてくるシーンはかなり痛快で、この長編をここまで読んだ者だけが味わえる醍醐味ね、とひとり悦に入ってしまった。
85点
火車
宮部みゆき(双葉社)
言わずと知れたカード破産の話。「偶然」がひとつのキーワードになっているが、全然無理がない。
舞台設定、人物設定が細部まで考え抜かれていて、傑作だと思う。
印象的だった部分をひとつ。換気扇をガソリンできれいにするという話。そこまでしてきれいにしたい人が世の中にはいるんですね。
90点
言わずと知れたカード破産の話。「偶然」がひとつのキーワードになっているが、全然無理がない。
舞台設定、人物設定が細部まで考え抜かれていて、傑作だと思う。
印象的だった部分をひとつ。換気扇をガソリンできれいにするという話。そこまでしてきれいにしたい人が世の中にはいるんですね。
90点
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