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よしなしごとども 書きつくるなり
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三浦しをん(光文社)

 ウェブマガジンに連載していたエッセイをまとめたのが本書。
 この言い回し、言葉使い、エッセイ系のヒットサイトでよく見かける。ある種、パターンとして定着しているのであろうか。
 とにかく、軽くて辛口で、面白い。

 私が気に入ったのは「恋横車生花実成上」、「動かざること山の如し」、と「女の友情」の出だし。
 あとは漫画に関する話が多くて「女の友情」も後半はほとんど理解不能だった。そういう、内輪ネタのような部分を読むのが少し辛かった。
70点
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尾崎翠、中野翠・編(筑摩書房)

 短編集。なかでも『第七官界彷徨』の評判が良かったので読んでみたのだが……少しも面白くなかった。
 私の読解力の無さが元凶だとは思うが、とにかく延々「この人たちは一体?」と思い続けながら、読んだ。

 主人公である町子が、二人の兄と従兄の住む家で、住み込みで働くことになる。三人の男性は揃いも揃って風変わり。特に町子の二番目の兄・二助はコケの研究のために人糞を部屋で煮詰めたりするのだった……。
 あぁ、粗筋を書くだけでいやになる。みんな不様で自意識過剰でぐだぐだ。これがたとえば金井美恵子氏の作品なら、そこにひとつまみの面白みが感じられるのだが、それも無い。
 編者の中野翠は激賞しているが、私には合わなかった。
45点
土屋賢二(文藝春秋社)

 東大卒にして大学教授である著者のエッセイ。
 こういう”笑い”は初めて体験した。無駄なインテリジェンスとでも言うべきか。

 筆者は、日常の瑣末な事柄に対して、飽くなき情熱を持って真理(?)を追求する。その姿勢は、哲学者の鑑と言えよう。
 というのは全くの冗談で、筆者が悪ノリして書いているのは「火を見るよりも明らかである」。
 前文の「」の中は、筆者に教えてもらったテクニックのひとつで、説得力に自信が持てないときは、この一文で締めくくるといいらしい。
70点
薬丸岳(講談社)

 13歳の少年三人によって、桧山の妻は殺された。が、少年法に守られ、犯人たちが罪に問われることはなかった。四年後、少年の一人が殺され桧山に嫌疑が掛かるが……。

 次から次へと事件が起き、読み出したら止まらなかった。めくるめく疾走感と隙の無さに唸った。物語の中に「殺人者」が多すぎな気もしたが、一つの罪がたくさんの悲嘆と憎悪を生み出すという構図は、すっと心に入ってきた。
 本書を読んでつくづく思ったのだが、少年犯罪に対する制度は改革が必要であろう。人の命を奪っておいて更生のための施設に送致? しかも被害者への謝罪の義務さえ無い。被害者からしたら神も仏も無いではないか。
 厳罰化しても犯罪自体は減らないかもしれない。だが被害者遺族の立ち直りの一助にはなり得ると思う。
85点
安井俊夫(メディアファクトリー)

 一級建築士でもある筆者が、10編のミステリー小説に登場する建物を解析、図面化した労作。
 森博嗣氏の『笑わない数学者』の検証が面白かった。
 天文台を住宅に改造したという「三ツ星館」。お椀を三つふせたようなこの館、資産価値は数十億だという。
 だが明らかに建築基準法違反! 画竜点睛を欠くとはこのことか。
 この作品に限らず、場所の特定、建築コストの設定(不便な場所なら経費がかさむ)、古い建物なら時代考証までしているところがさすがというか、考え抜かれていると思った。

※筆者である安井俊夫氏は、ネット上で長年お付き合いいただいている建築士さんです。
 それとは関係なく、楽しんで読むことが出来た一冊でした。
 ただ点数をつけるのはあまりにおこがましいので控えさせていただきます。
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