宮尾登美子(集英社)
捨て子だった珠子は、養護施設で育つ。中学を出たとき、剣山に住む宮司の養女となり、人里離れた山奥で生活することとなる。
数年後、珠子は山で遭難したカメラマンの男を偶然助け、二人はやがて愛し合うようになる。
ところどころ「この事実が後に珠子を悩ますこととなる」というような前振りがあるため、急かされているような気持ちで読みすすめた。そのへんが上手いというか、あざといというか。
珠子は恵まれない境遇に育ちながらも、美しく、穢れを知らず、思いやりあふれる女性であった。でも、愛する人が現れた途端、非情ともいえる人間になってしまう。
その切り替わりが唐突な感じもした。
乳児と接して、自分も結婚すると決心するあたりも、珠子の人間としての未熟さが見え隠れするようだった。
いろいろとあげつらってしまったが、この作品は剣山の大自然、とりわけ花の描写が素晴らしく、心が洗われるようだった。
75点
捨て子だった珠子は、養護施設で育つ。中学を出たとき、剣山に住む宮司の養女となり、人里離れた山奥で生活することとなる。
数年後、珠子は山で遭難したカメラマンの男を偶然助け、二人はやがて愛し合うようになる。
ところどころ「この事実が後に珠子を悩ますこととなる」というような前振りがあるため、急かされているような気持ちで読みすすめた。そのへんが上手いというか、あざといというか。
珠子は恵まれない境遇に育ちながらも、美しく、穢れを知らず、思いやりあふれる女性であった。でも、愛する人が現れた途端、非情ともいえる人間になってしまう。
その切り替わりが唐突な感じもした。
乳児と接して、自分も結婚すると決心するあたりも、珠子の人間としての未熟さが見え隠れするようだった。
いろいろとあげつらってしまったが、この作品は剣山の大自然、とりわけ花の描写が素晴らしく、心が洗われるようだった。
75点
PR
この記事にコメントする