忍者ブログ

動く指

アガサ・クリスティ(早川書房)

 物語の語り手である兄と、その妹、この二人が本当に生き生きと描かれている作品。筋自体は目新しさのない、平凡な印象の作品だが、兄の恋物語、田舎町の鬱陶しい人間関係などが、読ませる。

 ひとつ気になったところは、妹がそばかすが出来たと嘆くシーン。「……そばかすって、何やら強情でしみったれみたいに見えて、いやね」。
 がーん。私もあるんです、そばかす。そういうイメージなんだ……ちょっと凹んだ。
75点
PR

うまい犯罪、しゃれた殺人

ヘンリイ・スレッサー(早川書房)

 テレビ「ヒッチコック劇場」でドラマ化された短編の中から、ヒッチコック自身が選んだ17個の作品が収められている。

 面白かったのは「恐ろしい電話」。
 昔、電話は一本の回線を、何家族か共同で使っていた。受話器を上げれば、他人が話している内容を聞くこともできた。
 あるとき、妻の具合が悪くなり電話を掛けようとした男は、既にふさがっていた回線を空けてくれるように頼むのだが……。
 ラストの盛り上げかたが素晴らしい。映像も、さぞかし怖い作品だったことであろう。

 それから「親切なウエイトレス」。
 とあるホテルのレストラン。衰弱しきった老婆は、優しいウエイトレスに財産を譲る話をする。ウエイトレスは固辞するが、次第に老婆の死を願うようになり……。
 人間の醜さが存分に描かれている。ひねりの効いたオチもうまい。
80点

FBI心理分析官

ロバード・K・レスラー、トム・シャットマン(早川書房)

 FBIの元捜査官が書いた本。この本の出版や映画「羊たちの沈黙」で、「プロファイリング」という言葉が一般的になったのではないだろうか。

 連続殺人犯とのやりとりは、まさに小説より奇なり。罪の意識が無い、後悔しない、だから再犯を繰り返す。日本は終身刑がないから、こういうモンスターが社会に戻ってくる危険性がある。そう考えると背筋が寒くなる。
70点

園芸家12ヵ月

カレル・チャペック(中央公論新社)

 園芸家の生態を各月ごとにつまびらかにした一冊。
 うまくいくたびに助長され、しくじるたびに鞭打たれ、どんどん高まる園芸熱(分かる分かる)。その熱に浮かされた園芸家の悲哀が、面白おかしく描かれている。

 水遣りのときのホースとの格闘。跳ね上がる、巻き付く、こっちはびしょびしょだが、庭にはまだ乾いた地割れが。
 雑草との格闘。「りっぱな芝生が欲しいと思ったら、いっそのこと雑草の種をまくべきかもしれぬ」。
 また、ほんとうの園芸家を見分ける方法も載っている。その庭に招待されたとき、まず尻が見えるのだ。ちょっと植え替えをしてるから、ちょっと土を柔らかくしてやらなくちゃ、ああ雑草がある……といつまでも尻が見えてたら、彼は園芸家なのだという。

 万人にウケるかどうかは分からないが、私にはウケまくった一冊だった。
80点

王への手紙

トンケ・ドラフト(岩波書店)

 16歳のティウリは、騎士叙任式の前夜、礼拝堂で寝ずに過ごしていた。
 そのとき、彼は見知らぬ男にあることを依頼される。遠く離れた隣国の王へ手紙を渡すこと。ティウリの長い冒険がここに始まりを告げた……。

 この作品、オランダにおいて過去50年間に出版された児童書の中で、もっとも優れた作品に選ばれたそうである。
 なるほど内容は勧善懲悪で教育上好都合であろうし、何より単純に面白かった。
 山越え谷越え川も越え、ティウリの遭遇する苦難に、読んでいるほうもハラハラし通しだった。
 また大自然の雄大さ、美しさも存分に表現され、加えて男同士の熱い友情もありで、長い話ではあるが飽きずに読むことができた。
 主人公は16歳。大人はもちろん、その年頃の子が読んだらとても楽しめる作品ではないだろうか。
80点

カレンダー

03 2026/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4
6 7 9 10 11
13 14 15 16 17
19 20 22 23 24 25
26 27 28 29 30

カテゴリー

フリーエリア

最新コメント

[03/21 まきまき]
[03/21 もか]
[03/13 まきまき]
[03/12 ぴーの]
[03/08 まきまき]

プロフィール

HN:
まきまき
性別:
女性

バーコード

ブログ内検索

P R

カウンター

アクセス解析