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あなたに似た人

ロアルド・ダール(早川書房)

 短編集。
 『南から来た男』が良かった。
 見知らぬ老人が「私」に賭けを持ちかけてくる。彼が負けたらキャディラックをくれるという。あいにく賭けるものが無いと言うと、彼は意外な提案をするのだった……。

 ライターで十回、ミスすることなく火を付けるという、その勝負のシーンでは思わず固唾を呑んだ。「ワン!」「ツウ!」とカウントが増えていくにつれ、高まる緊張感。その後に続く、背筋が寒くなるようなオチ。すばらしかった。
 他に、五十年振りに再会したいじめっ子に、一泡吹かせてやろうと企む男の話『韋駄天のフォックスリイ』も面白い作品だった。苦笑を誘われた。
75点
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あなたに不利な証拠として

ローリー・リン・ドラモン(早川書房)

 五人の女性警官がそれぞれ主人公をつとめる短編が十、収められている。
 『傷痕』が良かった。
 マージョリーは強姦されかけ胸をナイフで刺された。「被害者サービス」から派遣されたキャシーは、彼女に優しく接する。後にマージョリーは警察の捜査で自殺未遂として片付けられてしまう。6年後、警察官となったキャシーはマージョリーが事件の再捜査を願い出ていることを知る……。

 独特の表現が多く、文章全体がとても斬新なイメージ。回りくどく思われそうな比喩もさらりと読ませる。
 また、キャシーの心理描写が的確だった。彼女の熱意が失われていく様が、一本の電話のやりとりであぶり出される。まるで手練れの作家のような文章に圧倒された。
70点

アルジャーノンに花束を

ダニエル・キイス(早川書房)

 ラストで泣いたとか、SF界を代表する傑作とか、世間の評価は高いようである。でも忌憚のない意見を言わせていただくなら……それほどのもんか?

 白痴のチャーリーが手術によって天才に生まれ変わり、また知能を失っていく、というストーリー。みんなどのへんで感動しているのであろうか。チャーリーの一人称が胸に迫るのか。
 白痴でいるときの文章は白痴らしくしなくちゃいけないんだけど、でも読み手がまったく理解出来なくては物語は成り立たなくなるし、そのへんのさじ加減は難しいよね。などと、どうでもいいことばかり考えてしまった、つまらなさゆえ。
60点

アルファンウイ

ラファエル・サンチェス・フェルロシオ(未知谷)

 個性的な少年、アルファンウイ。彼は学校を追い出されて、剥製術の親方のところへ見習いに行くことになる……。

 NHK BSの「週刊ブックレビュー」で薦められていたので読んでみたのだが、これは難解だった。
 文章は、比喩なのか見たままを描写してるのか常に判然とせず、幻想の世界をさまよう。それを何とか頭の中で想像してみるものの、AのようなBの周りにCの色をしたD??? 意味不明が折り重なって、ひしめきあって、次第に字面だけを追いかけている自分が、いた。
 訳者はあとがきで、その色彩感覚をほめそやしているが、素人の私からしたら色彩のダダ漏れにしか思えず、カバーのスズキコージ氏の絵でさえ目を逸らしたくなるほどであった。
20点

一日でおむつがはずせる

N・アズリン、R・フォックス(主婦の友社)

 子供のトイレ・トレーニングといえば、とにかく気長にやるしかない、という常識を覆すのが本書である。
 しかも長い間試行錯誤してもおむつが取れなかった子でも、この本にある方法なら一日で取れるという、まさに夢のような内容。

 しかしながら、この方法を実践する「その日」は、けっこう大変だと思う。母親と子供はふたりきりで、外出もせず、電話も出ないでトレーニングに専念する必要がある。
 その方法は、こと細かいルールがあって、セリフから与える食べ物まで、とても覚えきれないほどだ。
 私は実践しなかったので成果の程は不明だが、ちょっとした「コツ」も載っているので、その部分だけでも悩めるママさんには為になると思う。
60点

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