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パートタイム・パートナー

平安寿子(光文社)

 進藤晶生。28歳。職業・デート屋。話し相手が欲しい、パーティのエスコート役が欲しい、そんな女性のためのパートタイム・パートナー。得意技は、とびっきりの笑顔で、女性を寛がせること。

 個性豊かな女性が入れ替り立ち替り現れては、晶生にいろいろなことを語ってゆく。そのあたりの構成は面白かった。
 だが、主人公の晶生という男性、私が実際に会ったら絶対に嫌いになるであろう。まず根拠の無い自信が過剰である点。それからマザコンであることを認めて開き直ってて、いい年をして母親に金の無心までしてる点。
 彼のように、すべて自分の都合の良いように物事を解釈する人間には、嫌悪感しか湧かない。
35点
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グレイヴディッガー

高野和明(講談社)

 前科者の八神は骨髄移植のドナーとなる予定だった。
 手術の前日、友人の死体を発見した彼は、謎の男たちに付け回され、東京中を逃げるはめになる。
 一方「グレイヴディッガー」なる殺人鬼が現れ、一夜のうちに何人もの犠牲者が出る。
 八神を追うのは殺人鬼か、あるいは謎の集団か。そして彼は移植に間に合うのか。

 八神の性格設定がコミカルで、面白かった。
 だが二重、三重に追うものと追われる者が入れ替わるところなどは、分かりづらく、謎解きも中途半端だ。核心部分がうやむやで、肩透かしを食わされたような気になった。
75点

13階段

高野和明(講談社)

 仮釈放中の青年と、退職間近の刑務官。二人は冤罪で死刑になりかけている男を救うため、十年前の事件を調べ始める。

 非常に分かりやすい筋立てである。そのくせ真犯人は、幾重にも折り重なった仕掛けの奥底にいて、なかなか正体を見せない。そのバランス感覚に舌を巻いた。
 「過去」という章では、刑務官の仕事振りが語られるが、死刑執行の様子は空恐ろしいほどのリアリティがある。「執行する側」の苦悩の深さに慄然とした。
 抑制された文体に、読み手の緊張感は持続し、読み出したら止まらない作品である。
90点

あ・だ・る・と

高橋源一郎(集英社)

 アダルトビデオの監督の日常。
 カマトトぶる気はさらさらないのだが、この世界はついていけそうにない。特にスカトロの部分は、目が逃げてしまい読み飛ばさざるを得なかった。
 AVって、本当にこうなのだろうか。何でもアリ、なのだろうか。
 もしそうなら、供給があるってことは需要もあるってことなのだろうか。
 と、疑問だらけで読み進めていったら「エピローグ」ではとんでもない問題が提起されていた。
 作者の言いたいことはここに集約されているようだ。
50点

半眼訥訥

高村薫(文藝春秋社)

 雑文集。読売、毎日、日本経済新聞などに発表された文が多い。
 高村氏というのは、その作品どおり、考え方の硬いかたのようだ。それは悪い意味ではなく、きまじめというほどの意味である。
 日本語の衰えを憂え、狭くてモノが溢れている住宅環境を憂え、一人で食事をする子供たちの生活を憂える。きまじめゆえの、心配性でもあるらしい。

 硬い話題が多い中で「折々の花」という一文が目をひいた。小さい頃、夏といえばカンナ、ダリア、きんせんかなどの花が路地に咲いていた。今はほとんどそれらを見掛けない、という話。
 花にも流行り廃りがあるのだろうか。
65点

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