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その名にちなんで

ジュンパ・ラヒリ(新潮社)

 インド人のアショケとアシマの息子、ゴーゴリ。文豪の名にちなんでそう名付けられた彼は、やがて自身の名を忌み嫌うようになる。米国で生まれ育った彼は、名前のみならず両親の考え方にも違和感を覚えるのだった……。

 米国の、自由に(悪く言えば自分勝手に)生きる人々を見て、ゴーゴリは羨望し、その両親は嫌悪感を覚える。この温度差はどこまでいっても縮まらないだろうと思いながら読んだら、果たしてそうだった。

 特にゴーゴリが改名するあたりは、溝が一気に深まったことを示唆していて、両親の落胆を思うと胸苦しいほどだった。
 ただ終盤では、ゴーゴリも人との出会いと別れを繰り返して精神的に成長し、次第に両親の生き方を理解していく。
 多くのものを失ってしまった彼ではあるが、代わりに大切な「気付き」を得た。親からの、先祖からの深い愛情でもって自分は生かされているのだという気付きを。
85点
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ソフィーの世界

ヨースタイン・ゴルデル(NHK出版)

 読むには読んだが、つらかった。悲しいかな理解できない部分が多すぎで。
 哲学の「入門編」という位置付けらしく、しかもベストセラーにもなっていた。みんな、頭良いんだね。日本人も捨てたもんじゃない。
 結局ソフィーって人間ではなかったのか?
15点

ゾマーさんのこと

パトリック・ジュースキント(文藝春秋社)

 子供向けの本なのかもしれない、挿絵もあるし。でも大人でも充分楽しめると思う。昔新聞の書評欄で見つけて、あまり期待せずに買ったのだが面白かった。
 ピアノのレッスンで鼻水つきの汚い鍵盤を弾かなくてはならなくなるシーンでは、声を出して笑った。
80点

蒼ざめた馬

アガサ・クリスティー(早川書房)

 ある晩、皆に慕われていた神父が撲殺される。彼はある事件に関する重要な事実を握っていたらしい。学者であるマークは事件の真相を探るべく、とある館へと赴く。そこには人を呪い殺すと噂される三人の女性が住んでいた……。

 濃霧に包まれた夜、魔術、霊媒、メンデルスゾーンの葬送行進曲、とオカルトっぽい演出を散りばめながら、物語は進んでいく。しかも登場人物たちは(警察の関係者でさえ)「人知の及ばない事はある」というようなことをにおわす。
 これは本当に「トリック無し、呪いに因る死」という結論に達してしまうのか? ミステリの女王と言われたクリスティーがそんな作品を書いたのか? と一種の恐れにも似た感情を抱きながら終盤まで読んだ。そして……
 ここでラストを語るわけにはいかないが、私の想いは杞憂だった、とだけ書いておこう。
75点

穴 HOLES

ルイス・サッカー(講談社)

 中学生のスタンリーは、太っちょで冴えない男の子。しかも運にも見放され、無実の罪で矯正キャンプに入るはめに。そこには「毎日一つずつ、直径1.5m、深さ1.5mの穴を掘る」というきまりがあった。スタンリーはある日キャンプを逃げ出そうと企むが……。

 キャンプにいる悪ガキたちが良い味を出している。ずるくて油断のならない彼らだが、本当は……おっと、それはラスト近くで明かされる。
 スタンリーの冒険譚もとても面白かった。次々と災厄が降りかかってくるのはお約束だが、それを乗り越えるたびに彼と一緒に安堵し、次第に強くなる彼をうれしく思った。

 あちこちに散りばめられた昔話、昔々話が、最後にまとまっていくワザは見事と言う他ない。無駄な話はまったくなかったと気付かされて、驚いた。
90点

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