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蟹工船・党生活者

小林多喜二(新潮社)

 オホーツク海で操業する蟹工船。元農夫、坑夫、学生などの乗組員は、過酷な労働を強いられていた。死と隣り合わせの毎日を生きるうち、彼らは次第に団結してサボタージュを行うようになり……。

 船底にある「棚」が乗組員たちの寝床だ。シラミや南京虫があふれ、悪臭ただよう不衛生極まりないそれを、彼らは糞壺と呼んでいた。昼は長時間労働、夜は糞壺。彼らがやがて立ち上がりストライキを起こすのも、むべなるかなであったろう。
 虫けらのように殺される運命なら一矢報いたい……彼らの叫びは搾取される側の共通した叫びだと思った。
 もう一つの中編「党生活者」も共産主義者を描いたスリリングな一編であった。

 筆者は左翼文学運動をして逮捕され、警察の拷問によって殺されたそうだ。言論の自由もへちまも無かった時代に、命を賭して作品を書いていた筆者の気迫が感じられる一冊であった。
65点
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