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王国 その1 アンドロメダ・ハイツ

よしもとばなな(新潮社)

 山小屋でおばあちゃんと暮らしていた女の子「雫石」。おばあちゃんが海外で暮らすことになり、彼女はひとり都会へと出、占い師の「楓」と出会う。

 出だしは退屈だったが、次第に惹き込まれ、読了したときには満足感に包まれていた。
 小さな物語の積み重ねかたが素晴らしかった。居酒屋の「かけねなしに」優しい夫婦。占ってもらったお礼にと、チョコレートを差し出す少年。奥さんの明るさに疲れて別居している真一郎という男性。
 無駄がなくて、澄んでいて、心にすっと入ってくる表現がたくさんあって、ここにひとつひとつ引用したいくらいである。
 久々によしもと氏の世界を堪能した。
90点
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ガセネッタ&シモネッタ

米原万里(文藝春秋社)

 エッセイ集。
 「不実な美女か……」は楽しく読んだが、2冊目にして早くも食傷気味。
 理由を考えたが、同じ話題が何度か出てくるせいかもしれない。初出一覧によると、いろいろなところに書いたものを集めたようなので、それも無理からぬことか。
 もちろん面白い話もたくさんあった。12歳くらいで文芸大作を次々に読破したのは、単に濡れ場を読みたかったから、とか。昨今の本屋には、雑誌と受験参考書と漫画しか置いてなくて薄気味悪い、とか。
 そのあたりはうんうん頷きながら読むことができた。
60点

不実な美女か貞淑な醜女か

米原万里(徳間書店)

 日露同時通訳者である筆者のエッセイ。
 通訳ってすごいなぁと常々思っていたが、すごい上に大変でもあるらしい。ある時は原子力の会議、そしてまたある時はボリショイバレエのプリマのインタビュー、そうかと思えば「旧石器時代のなんたらかんたら」のシンポジウム、と実に多種多様な専門用語を駆使しなければならないのだから。
 誤訳のエピソード、名訳の紹介、各国の慣用句など、興味深い話がいっぱいで飽きさせない。
70点

とかげ

吉本ばなな(新潮社)

 昔読んだこの作品、なぜか内容をほとんど覚えてなかった。再読したら、けっこう楽しめた。吉本氏の作品は、読んでいるときは面白いのだが、すぐ内容を忘れる。

 とかげみたいな彼女と医者の彼。こんなふうに出会うべくして出会って、心の底まで理解しあえる二人というのは嫉妬さえ感じる。どんなに不幸でも、絶対的に自分を引き受けてくれる人が一人いたら、その不幸は八割くらい減ると思う。
70点

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