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よしなしごとども 書きつくるなり
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中島京子(文藝春秋)

 昭和初期、14歳のタキは女中として平井家に入る。赤い屋根瓦の洋館はモダンで、若い奥様も気さくなかただった……。
 映画化され、主演は松たか子だったようだが、きっとはまり役だったのではないだろうか。
 根っからのお嬢様で屈託がなく、美しくて社交家。読んでいる間、ずっと時子奥様は松たか子で再現されていたほどだ。
 内容のほうは、と言うと女中タキの仕事に対する誇りや情熱には胸を打たれた。ただ終盤の時子奥様への「配慮」は、やり過ぎな感じがした。
 進言だけにしておけば良かったのに。
80点

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長岡弘樹(双葉社)

 4つの短編が収められている。
 表題作の『傍聞き(かたえぎき)』を紹介しよう。
 刑事である啓子は小学6年の娘・菜月と2人暮らし。何かと反抗的な娘だが、啓子は近所で起きた窃盗事件のこともあり、娘のことを心配するが……。

 他の3編もそうなのだが、途中でトリックが分かってしまった。私のような鈍感人間に分かるということは、つまり、そういうことであろう。だが、いずれの作品も人情物語の側面を持っており、がっかり、のち、じーんとした。
 という感想が書ければよかったのだが、人情の部分が、どことなく古臭いというか既読感のある話が多かった。
 帯や解説で絶賛されていたので、期待が膨らみ過ぎたのかもしれない。
60点
永井荷風(新潮社)

 時折小説を書いたりして、気ままに生活していた大江氏。
 彼が街を散策していたあるとき、お雪という女性と出会う。彼女は娼婦だったが、溌剌として美しい女性だった。

 大江氏の淡々とした自分勝手な生き方が、なぜだか憎めない。お雪を「ミューズ」と評しながらも、彼女に言い寄られそうになると途端に逃げ腰になる。本当は彼は女性不信なのだ。それをうだうだと言い訳する様に、苦笑してしまった。
 また、昭和初期の人々の生活ぶりがいろいろと描かれている。威張り散らす巡査、ラディオから流れる浪花節、初冬の落ち葉焚き。私は長ったらしい背景描写は苦手だが、この作品のそれは楽しんで読むことができた。

 ※題名の1文字目は、本当はさんずいのついた「墨(ぼく)」です。
65点
永井するみ(双葉社)

 六つの短編集。癖のない文章で、さらりと読みやすい。
 内容的には、ほとんどの話が「殺人」に必然性がないような気がした。簡単に言うなら「何も、殺さんでも」である。
 だが筆者はそれが言いたかったのかもしれない。犯人にしてみれば充分な理由があり、それは他人には理解されなくてもかまわない、ということだ。
 最後の「雪模様」が一番はらはらした。幼い子供は手にかけないで欲しい、とやはり思ってしまう。
70点
なかがわみどり・ムラマツエリコ(三笠書房)

 楽して金儲けしたい。誰だってそう思うけど、そうは問屋が卸さないのが現実ってもの。でもこの二人の作者は、それを実現するべくk(金).m(儲け).p(プロジェクト)を始めた。こういう本も、その活動の一環なのだそう。

 内容は、格言集のような、つぶやきのような。心に響いたのは、人間嫌いについてのコトバ。ほんとは愛されたいくせに、でも無理っぽいから「そんなのいらない」って言ってない? という意味の部分。あうう、そうかもしれない。
65点
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