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よしなしごとども 書きつくるなり
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瀬川ことび(角川書店)

 ホラー短編集。いずれの作品も軽くて面白い。肩の力が抜けて行くホラーである。
 「初心者のための能楽鑑賞」が特に気に入った。好きな子に「能」に誘われ、仕方なく付き合う男。何度か公演を観るたびに、彼の周囲で不可思議なことが起こる。
 能に関するうんちくも興味深いし、最後のオチも深刻ぶらないところが良い。
75点
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勢古浩爾(洋泉社)

 帯には「抱腹絶倒の『当世バカ』図巻!」とある。
 有名バカと無名ばか。全身バカと部分バカ。バカ女にバカ男。もうとにかくバカづくしの本である。

 紹介したい部分がたくさんあるのだが、その中でも選りすぐりをひとつ。「がんばれ」と言われたくない人。
 めいっぱい頑張ってるのに「頑張れ」と言われるとむかつく、何をどう頑張れば良いのでしょう?……筆者の答えは「だったらがんばらなくていいよ」。
 非常に明快で胸がすく答えではあるまいか。
 私も以前からこういう意見には、悲劇のヒロイン気分とでもいうような胡散臭さを感じていたのだ。
 日本語はそのへんの語彙が乏しいのだし、がんばれ、でいいじゃないか、という筆者には大賛成である。
85点
瀬戸内晴美(新潮社)

 染色の仕事で生計を立てている知子。彼女は八年もの間、妻子持ちの慎吾と半同棲し、しかも他に凉太という恋人までいる。
 一見奔放に見える知子だが、その実「馴れ合いの関係」にがんじがらめにされ、引くことも進むこともままならなくなっている。

 知子と慎吾のように、悪気はないが性悪な人達の話は、読んでいて疲れる。常に誰かが問題を解決してくれるのを待っていて、それは絶望ゆえだとうそぶく。甘ちゃん同士の傷のなめあいに他ならない。
 ひとつ、心に残る表現があった。他人を疑うことを知らない慎吾をさして、知子は育ちの良さの鷹揚さだと言い、一方凉太は自分のことしか見えない利己主義だと言う。
 きっとどちらも正解なのだろう。
60点
そね(有限会社鉤屋)

 そね氏のエッセイ第二弾。
 今回は「食」に関する話である。巷に溢れる、単なる「おいしい店の紹介本」や「レシピ本」とは一線を画す、ユニークな一冊である。
 特に激しく同意、と思ったのは「レタス」の話。ランチメニューに付いてくる、あのレタスをちぎっただけのサラダ。あれは私も許せない。心から「要らない」と言いたい。
 ただ、今回は手放しでこの本をお薦めすることは、個人的に思うことがあってできない。それでも、と仰るかたはそね氏のサイト「鉤屋」をご覧下さい。
採点なし

※追記 2012年現在、上記サイトは閉鎖されております。
そね(カイ Web-no HON)

 私がいっぺんで気に入ったサイト「グレコローマンかたぎ」のコンテンツ「単発企画」。
 その中から選りすぐりをまとめたのが本書である。
 いや、正確に言うと「単発企画」は閉鎖されてる部分が多いため、この本が選りすぐりかどうかは謎である。
 それでも非常に面白いことは断言できるし、「お友達にすすめ」ないで欲しいと筆者は書いているが、最近愉快な本がないとお嘆きの貴兄にはぜひ読んでいただきたい一冊である。
 私のいちおしは、おまけの「きのこの歌」。これを読んでも笑わない人とは、きっと仲良くなれないと思う。
 さてこの本は普通の書店では入手できません。興味が湧いた方は万能書店というサイトへどうぞ。
90点
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