Back To The Past
よしなしごとども 書きつくるなり
抱きしめる、東京~町とわたし
森まゆみ(講談社)
1954年に生まれた筆者が、移ろい行く「東京」を、自分の生活に絡めて描いたエッセイ。
私より少し上の世代だが、幼い日に見たこと、したことは結構共通することがある。紙製の着せ替え人形、コンクリート製のごみ箱……ノスタルジイを感じる。
ただ附属高、早大(東大は二次で落ちた)と進んでいくあたりは、自分の賢さをひけらかさないように、そーっと書いている感じがした。
「なんだ、苦労知らずのお嬢様かい」って思われたくないのか……なんて邪推かしら。
55点
1954年に生まれた筆者が、移ろい行く「東京」を、自分の生活に絡めて描いたエッセイ。
私より少し上の世代だが、幼い日に見たこと、したことは結構共通することがある。紙製の着せ替え人形、コンクリート製のごみ箱……ノスタルジイを感じる。
ただ附属高、早大(東大は二次で落ちた)と進んでいくあたりは、自分の賢さをひけらかさないように、そーっと書いている感じがした。
「なんだ、苦労知らずのお嬢様かい」って思われたくないのか……なんて邪推かしら。
55点
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八つの小鍋 村田喜代子傑作短編集
村田喜代子(文藝春秋社)
文庫本に「傑作短編集」と書かれているが、看板に偽りなしであった。
日常の中で見落としてしまうであろう「ちょっと変」をあぶり出すのが、筆者は上手だ。
封筒ののりしろを舐めて「こんなこと、好き」という男。
入院中の有沢さんは、毎日医師に思い出話をしに行くが、前日話したことは忘れている。
「もうすぐ死ぬ」と40年近く言い続けて死んだ、90歳の祖母。
少しのズレが、おかしみを、あるいは怖さを生む。その最たる作品が「茸類」。
美枝の従妹・康江は椎茸農家だが、収穫時期にケガをしてしまい、美枝が助っ人に借り出される。
マムシが出るという草むら。死んだ木にしか育たないキノコ。匕首のように鋭く澄んだ焼酎……。何かを暗示するような言葉が続き、最後に禍々しい事実が明らかとなる。
人が、ふっと常軌を逸する瞬間が、鮮やかに描かれている。
75点
文庫本に「傑作短編集」と書かれているが、看板に偽りなしであった。
日常の中で見落としてしまうであろう「ちょっと変」をあぶり出すのが、筆者は上手だ。
封筒ののりしろを舐めて「こんなこと、好き」という男。
入院中の有沢さんは、毎日医師に思い出話をしに行くが、前日話したことは忘れている。
「もうすぐ死ぬ」と40年近く言い続けて死んだ、90歳の祖母。
少しのズレが、おかしみを、あるいは怖さを生む。その最たる作品が「茸類」。
美枝の従妹・康江は椎茸農家だが、収穫時期にケガをしてしまい、美枝が助っ人に借り出される。
マムシが出るという草むら。死んだ木にしか育たないキノコ。匕首のように鋭く澄んだ焼酎……。何かを暗示するような言葉が続き、最後に禍々しい事実が明らかとなる。
人が、ふっと常軌を逸する瞬間が、鮮やかに描かれている。
75点
新釈 走れメロス
森見登美彦(祥伝社)
『走れメロス』他四編が収められた短編集。
『藪の中』が一番良かった。芥川龍之介の作品を、現代ふうにアレンジしたもの。
筆者いわく、原典の「木に縛り付けられて傍観するしかなかった夫の苦悩」に惹かれたのだそうだ。
「夫」は、森見版でいうと「鵜山」にあたると思われるが、彼は苦悩するどころか、傍観者という立場をむしろ楽しんでいる。燃えるような嫉妬心に身をゆだね、自虐的なふるまいでもって自分の存在を確認していくのが彼流なのだ。
原典の、切った張ったの激しさこそないものの、恋愛感情の中に潜む残酷性をうまく捉えた作品であると思った。
70点
『走れメロス』他四編が収められた短編集。
『藪の中』が一番良かった。芥川龍之介の作品を、現代ふうにアレンジしたもの。
筆者いわく、原典の「木に縛り付けられて傍観するしかなかった夫の苦悩」に惹かれたのだそうだ。
「夫」は、森見版でいうと「鵜山」にあたると思われるが、彼は苦悩するどころか、傍観者という立場をむしろ楽しんでいる。燃えるような嫉妬心に身をゆだね、自虐的なふるまいでもって自分の存在を確認していくのが彼流なのだ。
原典の、切った張ったの激しさこそないものの、恋愛感情の中に潜む残酷性をうまく捉えた作品であると思った。
70点
天使の卵
村山由佳(集英社)
あまりにもありふれた話。電車の中でひとめぼれ、その後の再会、恋愛。その凡庸さがイイと解説にはあったが、それにしても……。私なぞ、最初の10ページで読むのを止めようかと思った。
しかしこの文庫、4年間で20版。堂々たる数字ではないですか。どんな人が読んでいるのでしょう。うーん、いろんな意味で鼻白んだ。
25点
あまりにもありふれた話。電車の中でひとめぼれ、その後の再会、恋愛。その凡庸さがイイと解説にはあったが、それにしても……。私なぞ、最初の10ページで読むのを止めようかと思った。
しかしこの文庫、4年間で20版。堂々たる数字ではないですか。どんな人が読んでいるのでしょう。うーん、いろんな意味で鼻白んだ。
25点
太陽の塔
森見登美彦(新潮社)
大学五回生の「私」は、自分を袖にした女性をつけまわしていた。「私」いわく、それは決してストーカー行為ではなく、あくまで研究なのであった……妄想と自意識でぱんぱんに膨れ上がった「私」の、とほほな日常。
たとえ京大生でも、イケてないとこんなに切ない日々を生きなければならないのかと、単純に驚いてしまった。
しかも類は友を呼ぶというか「私」の友人たちのダメダメっぷりといったら。でもそれが憎めないというか、声援のひとつも送りたくなるような人たちではあったが。
「太陽の塔」に関する考察(?)も面白かった。私はそれを見たことがないのだが、大いなる違和感とやらを一度は味わってみたくなった。
75点
大学五回生の「私」は、自分を袖にした女性をつけまわしていた。「私」いわく、それは決してストーカー行為ではなく、あくまで研究なのであった……妄想と自意識でぱんぱんに膨れ上がった「私」の、とほほな日常。
たとえ京大生でも、イケてないとこんなに切ない日々を生きなければならないのかと、単純に驚いてしまった。
しかも類は友を呼ぶというか「私」の友人たちのダメダメっぷりといったら。でもそれが憎めないというか、声援のひとつも送りたくなるような人たちではあったが。
「太陽の塔」に関する考察(?)も面白かった。私はそれを見たことがないのだが、大いなる違和感とやらを一度は味わってみたくなった。
75点
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