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海辺のカフカ

村上春樹(新潮社)

 15歳の誕生日に、家出をした少年。彼は四国へと向かう。一方、中野区に住む、不思議な老人ナカタさんも、西を目指して旅をすることになる。
 やがて二人の時間は交錯しあい、生と死の混沌とした世界が垣間見えてくる。

 いつもながら、リアルな脇役陣がストーリーに深みを与えている。特に、ナカタさんと一緒に旅することになった星野さんが良い。俗物でありながら、心根は素直で温かい。少年が知り合った大島さんの薀蓄もまた、聞き応えがある。
 だが、肝心の主役である少年が、私にはどうにも作り物っぽく思えた。あまりにも博識で、あまりにも老成している。
 15歳のような30歳はいるかもしれないが、この少年のような、30歳のような15歳はいるはずがない。ナカタさんと少年の話が交互に進んでいくのだが、少年の章を読むのが次第に苦痛になってきたほどだった。
 ただ、そんなマイナス部分を補って余りあるほど、魅力のあるストーリーではあった。変な悪ふざけをしてる部分を除けば、神秘的で美しい作品である。
85点
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