中村文則(新潮社)
27歳の「私」は、タクシーの運転手。毎日を持て余し、幼い頃の被虐体験を思い出しては、そこにどんな意味があったのかを探ろうとするのだが……。
独り言を言ったり、現実と妄想の区別が出来なかったり、主人公はかなり危ない状態にあるようだ。読み進むにつれ、彼の狂気にじわじわと絡め取られるような気がしてきて、読むのを投げ出したくなるほどだった。
主人公の心に平穏が訪れないまま、物語は終盤へと流れていく。しかしラストシーンで彼がつぶやく言葉……「親はいません。今の僕には、もう、関係ないんです」……には、一筋の光明を見た気がした。後ろばかり見ていても仕方がない、前進するしかない、という彼の決心を感じた。
55点
27歳の「私」は、タクシーの運転手。毎日を持て余し、幼い頃の被虐体験を思い出しては、そこにどんな意味があったのかを探ろうとするのだが……。
独り言を言ったり、現実と妄想の区別が出来なかったり、主人公はかなり危ない状態にあるようだ。読み進むにつれ、彼の狂気にじわじわと絡め取られるような気がしてきて、読むのを投げ出したくなるほどだった。
主人公の心に平穏が訪れないまま、物語は終盤へと流れていく。しかしラストシーンで彼がつぶやく言葉……「親はいません。今の僕には、もう、関係ないんです」……には、一筋の光明を見た気がした。後ろばかり見ていても仕方がない、前進するしかない、という彼の決心を感じた。
55点
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