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ぜいたく生活のススメ

中山庸子(光文社)

 お金持ちじゃなくても心の持ちようで「ぜいたく」な生活が送れる、というエッセイ。
 こぎれいなオバサマの、等身大エッセイ。特別なことはあまり書いてないので、気楽に読める本である。
 ただ、けっこう優等生的発言が多いので、そういうものに拒否反応を感じる方は読まないほうが良いかもしれない。
55点
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神の手

望月諒子(集英社)

 文芸誌の編集長である三村は、あるとき広瀬と名乗る医師からの連絡を受ける。彼の患者が突然小説を書き始めた、患者は三村のことを知っていて、彼に原稿を送ると言っているという。
 小説のタイトルや内容を聞いて、三村は愕然とする。それは失踪したある作家志望の女性が、以前彼に見せたそれと同じだったのだ……。

 途中まではホラーの匂い漂うストーリーなのだが、ミステリーらしいオチもあり、霊が、怨念が、というただ怖いだけの話ではなかったのが良かった。
 ただ、いろいろな要素が絡み合って……失踪した女性の行方、盗作疑惑、幼児誘拐事件……少々盛り込みすぎの感がある。作中作の引用もしつこ過ぎる気がした。
75点

ノルウェイの森

村上春樹(講談社)

 売れましたね、この本。確かにおもしろい。タフで普通の緑、もろくて危なっかしい直子。このコントラストが良い。きっと男性は直子タイプに弱いんだろう、と予想しながら読んだらやはりそうだった。

 感心したのは数々の挿話。筆者の作品は、いつもこの挿話にオリジナリティがあって上手いと思う。
 ピアノを教えていた美少女が自分で服を破って「あの人(女性)に乱暴された」と嘘をつく話。こんなことありえないと思う反面、こういう悪魔的な人間はいるかもしれないとも思う。筆者のテクニックに感服した。
85点

山椒大夫・高瀬舟

森鴎外(新潮社)

 表題作が有名どころだが、私が一番気に入ったのは「杯」である。
 11、2歳くらいの数人の女の子が、泉のほとりで、銀の杯で水を飲んでいる。そこへ碧眼の少女がやってきて、やはり水を飲もうとするのだが……。
 ほんの数ページの短い作品であるが、そこには選りすぐりの美しい日本語が、詩のように並んでいる。
 少女たちの赤いリボン、泉に投げ入れられたほおずき、銀の鈴を振るような笑い声。こんな情景描写に出会えるから、日本のちょいと昔の純文学を読むのは止められない。
80点

13歳のハローワーク

村上龍(幻冬舎)

 13歳のための、好奇心の対象別職業案内。
 いわゆる専門職の紹介が多いせいか、聞いたこともない職業がけっこうあった。それを読むだけでもとても興味深かったが、筆者と交流のある「プロ」の逸話が、ひときわ面白かった。坂本龍一、コッポラ監督と、名立たる天才たちの振る舞いは、やはりひと味ちがうのであった。
 しかしながら、筆者が書いていることは所詮絵空事というか、理想論であるような気がした。サラリーマンやOLを選択肢から外せ、というのはかなり厳しい意見なのではないだろうか。

 初めから夢を捨てたような人生はつまらないかもしれない。でも特別な才能が無い人間はごまんといるのである。
 あるかないかの才能に縛り付けられて、人生を棒に振るか。地味でもサラリーマンとしての仕事を全うするか。後者を選んだとて、何ら恥じることはないはずである。
70点

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