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よしなしごとども 書きつくるなり
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萩尾望都(河出書房新社)

 漫画家・萩尾望都が20代の頃に書いたエッセイ。
 「ポーの一族」を夢中になって読んでいた一人としては、これは読まねばなるまい、と手に取った。期待を裏切らない愉快なエッセイであった。
 「トーマの心臓」が連載打ち切りになるところだった、とか。
 美内すずえ氏、青池保子氏は、論理的思考が出来る人、逆は自分とささやななえ氏、とか、そんな裏話にぞくぞくした。

 また、萩尾氏独自の視点で書かれた「パリで観た近代能楽集」や「バレエ」の話も興味を惹かれた。
 ダンサー・バリシニコフの美しさについて「百年前に生まれても百年後に生まれても見ることができない、脳ミソがふっ飛んでしまうような芸術を、今、同時代に生きて見ることができる」と書いている。
 バレエでなくても、そう言わしめるプロ中のプロの技を、死ぬまでに一度はナマで拝みたいものである。
70点
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萩原朔太郎(新潮社)

 朔太郎は誕生日が一緒なので、勝手に親近感を覚えていた。
 が、彼の詩は感受性が豊かな人にしか味わえないものであろう。私など「失格」なのである、本当は。
 この詩集は悲しい言葉が多い。あらゆるものを突き放したい。そう言いながらも寂寥感に押しつぶされそうな自分。そんなイメージを抱かせる詩集であった。
60点
畠中恵(新潮社)

 大店の若だんなである一太郎。身体は脆弱だが頭は切れる。そんな彼がある夜、人殺しを目撃する。身近にいるあやかしたちとともに、事件の謎を解こうとする一太郎だったが……。

 登場する妖怪たち――鈴の化身・鈴彦姫、行李のかげから小さな顔を覗かせる鳴家(やなり)――が、可愛く微笑ましい。
 ストーリーは少しまどろっこしいものの、そこそこ楽しめた。が、会話が手馴れていない感じがした。いくら世間知らずとはいえ、若だんなの物言いは幼稚すぎではないだろうか。
60点
綾辻行人(講談社)

 五つの中短編集。
 いずれも最後に「さて、犯人は?」という質問が読者に投げ掛けられている。もちろん私のような間抜けには一つも分からなかった。
 「伊園家の崩壊」を紹介しよう。明るく平和だった伊園家。だが母・常が狂死してからすべての歯車が狂い始め、一家は崩壊の道を辿る。それは娘・笹枝が殺害されるという事件で、決定的なものとなる。
 と、ここまで読んで気付かれたかたも多いと思うが「イソノ家」と書くと、よりピンとくるだろうか。筆者は「フィクション」だということを強調しているが、あの平和な家族がこんなことになったら、という仮定の話として読むべきなのだろうか……ちょっと悪趣味な気もした。
65点
花村萬月(文藝春秋社)

 これが芥川賞受賞作……過剰にエロでグロ。思わず読み飛ばしたくなるシーンあり。でも文章は細部まで考え抜かれているという感じを受ける。職人芸という意味で谷崎潤一郎を思い出した……のは私だけだろうな。何年も日本語を勉強してぺらぺら話せるようになった外国人でも、この文章は書けないだろう。
 筆者は以前、本の雑誌「ダ・ヴィンチ」でエッセイを連載していた。それを読んだときも、内容は別として「頭いいな、この人」と思った。
70点
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