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私が語りはじめた彼は

三浦しをん(新潮社)

 とある大学の教授である村川。彼はかなりの浮気者であった。彼を巡る人々が織り成す物語……連作短編集。

 村川は最後まで登場せず、他者の口から彼の言動が語られる。その不在が、逆に彼の性質を見事に浮かび上がらせる。
 おそらくは飄々と浮気をしていた村川。周囲のものだけが騒ぎ、うろたえ、憎悪をつのらせる。そのあまりの温度差に驚くばかりであった。
 三浦氏の作品はエッセイしか読んだことがなかったが、こんなにきちんとした文章を読ませてくれるとは思っていなかった。短くて素っ気ない表現のなかに、心に沁み入る珠玉の部分がたくさんあった。
90点
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