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うつくしい子ども

石田衣良(文藝春秋社)

 中学二年生の幹生。彼の弟カズシが幼女を殺害し、警察に補導される。十三歳の殺人犯に、世間は騒然となる。

 神戸で起きた酒鬼薔薇事件を想起させる設定だが、筆者は事件の表面的なことに目を奪われることなく、新しい観点からこの作品を構築している。
 幹生は転校もせず、悪質なイジメやいやがらせにも屈せずに、弟に対する疑問を解いていこうとする。まっすぐに、真剣に。
 世間の冷たい風によって、彼は皮肉にも人間として大きく成長していくのである。
 ただ、最後に明かされる事実が「よくあるパターン」で少し失望した。
70点
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服が掟だ!

石川三千花(文藝春秋社)

 センスが命のお洋服、に関するエッセイ。
 この毒舌ぶりはすごい。そこいらのオバさんから芸能人までメッタ切りである。
 全面的に賛成できる話もある……オジさんが履く餃子のような靴って一体……が、好みの問題でしょ?という話もある。
 まぁここまで熱く語ってこそ、タイトルが活きてくるのだろう。服を元気に着倒している、という方は腕試しに読んでみたら良いのでは。
50点

七人の敵が居た

石川達三(新潮社)

 私はあまりひとりの作家にのめり込まないようにしているが、例外もある。私の本棚の黒いコーナー=太宰治、赤いコーナー=アガサ・クリスティ、そして水色のコーナー=石川達三。一時期ハマっていた。
 その中の一冊。大学教授が教え子を乱暴したとして逮捕される。だがそれは合意の上であったと教授は主張する。はたして真実は?
 この話、実話だそうだ。著者は裁判記録を綿密に調べ上げ、この事件の不明瞭な点を繰り返し繰り返し、それはもうねちっこく書いている。裁判の杜撰さが肌で感じられるほどである。
 日本の政治は腐っているなんてよく耳にするが、日本の司法も腐っているのか!? と暗澹たる気分にさせられた。
70点

トリツカレ男

いしいしんじ(ビリケン出版)

 いろんなものに取り付かれる男、ジュゼッペ。オペラ、三段跳び、探偵ごっこ、昆虫採集。そしてあるとき一人の少女、ペチカに取り付かれてしまった。

 何をするにしても一生懸命なジュゼッペは、ときに愚かしくも見える。だが、その突き抜けた純粋さゆえ、得難い人物にも思えた。脇役のハツカネズミの、皮肉な物言いもまた愉快。
 苦笑させられたり、しみじみ考えさせられたり……童話のようなストーリーだが、どんな年齢の人が読んでも楽しめる一冊であろう。
80点

ぶらんこ乗り

いしいしんじ(新潮社)

 ものすごく頭が良くて大人びてて、ぶらんこに乗るのが得意な私の弟。でもある事故がきっかけで、弟は声を出せなくなってしまう。そして弟は話すかわりに、ノートに物語を書くようになった……。

 弟の「おはなし」がとても良い。真っ直ぐで、ちょっと残酷で切なくて。特に「歌う郵便配達」が素晴らしかった。
 いっぽう「私」の話し方はカンに障って仕方がなかった。「私、××って思った」といった助詞がない文章は、内容まで薄く感じてしまった。

 ラスト近くでの十枚のはがきのエピソードには深い感動を覚えた。それに隠されていたある秘密もまたしかり、読んでいて何度も涙があふれた。
 年端もゆかぬ弟がこんな心遣いを? と出来すぎな感じは否めないが、それでも彼の優しさには心打たれた。
85点

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