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ドミノ

恩田陸(角川書店)

 その日、多くの人間が東京駅に来ていた。俳句のオフ会の待ち合わせをしてる老人あり。会社で配るお菓子を買いに来た、保険会社のOLあり。オーディションの帰りに、たまたま立ち寄った子役の卵あり。
 そんな人々の運命が、重なり合いもつれあい、東京駅は次第に混乱のるつぼと化してゆく。

 群像劇というよりはドタバタ劇か。でも恩田氏を見直すほど面白かった。謎めいた「MAZE」などよりよっぽど好きになれた。
 ただ、フォントをいじるのは止めて欲しい。素人の作家じゃあるまいし。
75点
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MAZE

恩田陸(双葉社)

 人もおいそれとは近付けないような荒野に、ぽつんと建つ「白い箱」。中に入った人間が消えてしまうその建物に、どんな秘密が隠されているのだろうか。調査に訪れた四人の男たちの一週間を描く。

 出だしは建物の謎に惹きつけられて、楽しんで読むことができた。
 だが後半はいただけない。特にあるページの最初の一行。これは卑怯だ。こういうことをしないで読者を怖がらせるのがミステリーだろう(読んでないかたには訳ワカラン文章ですみません)。ラストも何が言いたいのかよく分からない。

 どうやら恩田氏の作品は私には合わないらしい。もう読まないほうが良いかも。
65点

ホワイトカラーの道楽

前川やく(有限会社鉤屋)

 ごく普通のサラリーマン、前川氏の書き下ろしエッセイ。
  前川氏のサイト「スレッジハンマーウェブ」(2005年閉鎖)も非常に面白いのだが、この本もまた、私のツボにぐりぐりとはまった一冊であった。
  「この世に並んでまで食うほどのものはない」とか「ホキ徳田のホキって?」とか「『萩の月』ならぬ『荻の月』ってのを見た」とか、本当に果てしなく面白かった。
  文章も落ち着いていて読みやすく、静かで皮肉な調子がすっかり気に入ってしまった。
採点なし

あなたが欲しい

唯川恵(新潮社)

 これほど予想が的中する作品もめずらしい。読んでいるほうが恥ずかしい。
 途中、こういう描写がある。「女性雑誌のカウンセリングで、恋愛沙汰に疲れ果てた相談を読むことがある。」私もこの作品を読みながら、ずっとそう思っていた。三流女性雑誌の、くだらない恋愛相談話だね、これは。
 こういう本が好きだという方もいらっしゃるとは思うので、これ以上は差し控えるが、読んでいて疲れた、ある意味。
10点

かのこちゃんとマドレーヌ夫人

万城目学(筑摩書房)

 小学一年生のかのこちゃん。彼女の家に居ついている猫のマドレーヌ夫人。一人と一匹の視点で描かれた、愉快でちょっと悲しい物語。

 初めて著者の作品を読んだが、とてもとても面白かった。あまりの面白さに他の著作を読むのが怖くなった、失望するのが怖いというか。
 かのこちゃんの描き方が、まず良い。友だちになりたい子に、なかなか近付けないもどかしさ。難しい言葉を覚えては、使ってみたくてうずうずする気持ち。子どものなかにある、そんな微妙な心情を鮮やかに描き出している。
 マドレーヌ夫人と、柴犬の玄三郎のやりとりも良い。夫婦(そう、二匹は紛れも無く夫婦なのだ)としての優しさに満ち溢れている。
 終盤では悲しい事件が立て続けに起こるが、でも、それぞれの事件のしっぽには……陳腐な言葉だけれど……希望がぶら下がっているような気がして、明るい気分で読了できた。
95点

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