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よしなしごとども 書きつくるなり
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横山秀夫(講談社)

 人望のある現職の警部が、アルツハイマーに侵された妻を扼殺した。彼は自首したが、犯行から二日間の行動をひた隠しに隠す。全てを語ろうとしない「半落ち」状態に、周囲は首をかしげる。彼の秘密とは。
 これは素晴らしい。まず、余計な風景描写がないところが気に入った。

 事件を取りまく六人の男たちがストーリーを繋いでゆくのだが、構成には無理がなく、しかもラストに向かって一筋の流れを作っていて、その巧みさに息をのんだ。
 「空白の二日間」の謎解きは、予想が付く答えではあったが、それでも涙なしには読み進むことができなかった。
 殺した、殺されたの血なまぐさいミステリーに飽き飽きしてるかたにおすすめしたい、極上の一品である。
95点
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奥田英朗(文藝春秋社)

 五つの作品が収められている。表題作の「イン・ザ・プール」が面白かった。
 ストレスから体調を崩した和雄は、とある精神科医に掛かる。
 医師の名は伊良部。診察は適当で、注射フェチで、お調子者の彼に和雄は不信感を持つ。
 そんな折、ストレス解消のために和雄は水泳を始める。伊良部も泳ぐことに興味を持ち、ついには二人で水泳にハマってしまうが……。

 伊良部がいい。こんな精神科医がいたら、私もかかってみたい。悩みなんか霧散しそうだ。
 彼はカウンセリングなんか無駄だと言い切る。「生い立ちも性格も治らないんだから、聞いてもしょうがないじゃん」と。豪快かつシンプル。
 伊良部氏の活躍(?)がもっと読みたくなった。
70点
三浦しをん(光文社)

 大手出版会社である玄武書房で、新しい辞書を編纂することになる。もうすぐ定年の荒木、元営業マンの馬締、軽薄な西岡……それぞれの思いをのせて、辞書は形になってゆく……。

 本屋大賞受賞、堂々のベストセラーということで、かなり期待して読んだ。確かに面白い。おそらくほとんどの人が知らない「辞書づくり」の世界が興味深いし、馬締氏の恋のゆくえも気にかかる。
 がしかし。何か、そぐわない感じがずっとして、読んでいて落ち着かなかった。それは著者の作風が軽いせいかもしれない。辞書という重々しい世界を、わざと軽やかに描いたのかもしれないが、違和感だけが残った。
 同じ題材で、たとえば小川洋子氏あたりが書いたらどんなふうになるだろう。正直、そっちのほうが読んでみたい。
70点
奥田英朗(講談社)

 '79年の夏。世界的に有名なポップスターであるジョンは、妻ケイコと息子とともに、軽井沢でのんびりと過ごしていた。だが、体調を崩して病院通いを余儀なくされる。その病院から家に帰る道すがら、彼は亡くなったはずの人たちと再会するという、不思議な体験をする。

 この物語はフィクションであるが、「あの」ジョンという人間はこういう性格だったのだろうな、と思わせる説得力がある。いじめっ子だった少年時代。捨て鉢だった青年時代。
 特に友達の家に招かれて、そのあまりにも温かい家庭の雰囲気に、つい暴言を吐くシーンなどは、彼のねじれた心がよく表れていると思った。
 ただ、全編を通しての便秘話にはちょっと辟易した。面白いけど笑えない。
65点
三浦しをん(新潮社)

 とある大学の教授である村川。彼はかなりの浮気者であった。彼を巡る人々が織り成す物語……連作短編集。

 村川は最後まで登場せず、他者の口から彼の言動が語られる。その不在が、逆に彼の性質を見事に浮かび上がらせる。
 おそらくは飄々と浮気をしていた村川。周囲のものだけが騒ぎ、うろたえ、憎悪をつのらせる。そのあまりの温度差に驚くばかりであった。
 三浦氏の作品はエッセイしか読んだことがなかったが、こんなにきちんとした文章を読ませてくれるとは思っていなかった。短くて素っ気ない表現のなかに、心に沁み入る珠玉の部分がたくさんあった。
90点
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