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よしなしごとども 書きつくるなり
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皆川博子(早川書房)

 こういう怖さは、ちょっと新鮮だった。人が何人も死んだり、血がどばぁってのも怖いけど、この世のものならぬ不思議な現象というのもじわじわと恐怖感が募ってくる。

 短編集だが、私が気に入ったのは「骨董屋」。未来がこんなふうに「ヒント」を出してくれたら助かる、というか苦労はしない。
 逆にいまいちだったのは「たまご猫」。設定も会話もとてもリアリティがある話なのに、ラストがあまりに現実離れしすぎだと思う。タイトルが変わってて「どんな話なんだろう」と期待が膨らみすぎたのが敗因か。
65点
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湊かなえ(双葉社)

 中学の女教師・森口。彼女の娘が、学校のプールで溺死してしまう。事故ということで片付けられたこの一件、だが森口は終業式の日に教室で告白する。「私の娘はこのクラスの生徒に殺されたのです」。

 第一章は、ほとんど森口の独白で話が進む。教壇から生徒に向かって穏やかに話をする彼女だが、その言葉には確かな「毒」がある。
 不穏な空気を保ったまま、ストーリーは次々に語り手を変えて進んでいく。その内容たるや意外性抜群、視点が変わると物事というのはこんなにも変貌するものかと、かなり驚かされた。
 無駄のない、しかもそつのない展開で一気に読めたが、欲を言えばA少年の母親の話も聞きたかった。A少年に対するどんな思いが母親にあったのか……永遠の謎ではある。
90点
南直哉(新潮社)

 出家して禅僧となった筆者。彼が示す、この生き難い人生をいかに生きるか――その術。

 何らかの救いを求めて本書を手に取ったなら、まずはその「何らかの」などという漠然とした思いを捨てたほうが良さそうだ。そう、現代人は無駄に悩んでいる。自分に何ら価値を見いだせない。自分は「特別なオンリーワン」ではないらしい。個性さえ持ち合わせていない。そんな人に筆者は言う。人と比較することを止めれば、ラクになれる、と。

 それから、次の一文にも心惹かれた。
 「信仰は、神仏と取引することではありません」。
 何か良くないことが起きると「それはあなたの信仰が足りないからです」という宗教には要注意。
60点
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