町田康(幻冬舎)
30年間酒を飲み続けた筆者がすっぱりと酒をやめた。その顛末記。
そもそもなぜ酒をやめようと思ったのか、その理由探しが出だしでけっこう長々と語られる。
作家の性というのか、あーでもないこーでもないと考えをこねくり回しているので、正直あまり面白くなかった。
次に禁酒するための心構え。
結論をいうと「自分はアホ」と思うこと、それに尽きるらしい。
まずこう在りたいという、少し高めの「普通」を自分の中で設定する。そうするとそこに到達していない自分は普通以下のアホ、ということなる。それが出来れば「この偉い俺様が報われぬとは何事か」と鬱憤を溜めて飲酒に走るということがなくなる、というわけである。
分かるような、分からないような。
しかし禁酒して得たものは、大変わかりやすかった。
・痩せた
・よく眠れるようになった
・毎日三千円ほど掛かっていた酒代が浮いた
・頭の中がクリアになって仕事が捗るようになった
なんてすばらしい。
脳髄にまだ酒粕がこびりついているものの、その奥にある資料室へもアクセス出来るようになったそう(こういう独特の表現が愉快)。
余談ですが。
ダンナにも本作をすすめてみたが、テコでも読もうとしない。
読んだら負けだと思っている様子……あーあ。
90点
30年間酒を飲み続けた筆者がすっぱりと酒をやめた。その顛末記。
そもそもなぜ酒をやめようと思ったのか、その理由探しが出だしでけっこう長々と語られる。
作家の性というのか、あーでもないこーでもないと考えをこねくり回しているので、正直あまり面白くなかった。
次に禁酒するための心構え。
結論をいうと「自分はアホ」と思うこと、それに尽きるらしい。
まずこう在りたいという、少し高めの「普通」を自分の中で設定する。そうするとそこに到達していない自分は普通以下のアホ、ということなる。それが出来れば「この偉い俺様が報われぬとは何事か」と鬱憤を溜めて飲酒に走るということがなくなる、というわけである。
分かるような、分からないような。
しかし禁酒して得たものは、大変わかりやすかった。
・痩せた
・よく眠れるようになった
・毎日三千円ほど掛かっていた酒代が浮いた
・頭の中がクリアになって仕事が捗るようになった
なんてすばらしい。
脳髄にまだ酒粕がこびりついているものの、その奥にある資料室へもアクセス出来るようになったそう(こういう独特の表現が愉快)。
余談ですが。
ダンナにも本作をすすめてみたが、テコでも読もうとしない。
読んだら負けだと思っている様子……あーあ。
90点
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又吉直樹(小学館)
「なぜ本を読むのか」をテーマにしたエッセイ。
第一章「文学との出会い」が、意外な話がけっこうあって面白かったです。
無理して明るくふるまったり、暴力を振るったりしていた少年時代。
物静かな印象しかなかったので、大人相手でも「違う」と思ったら反論していた、というあたりは驚きました。
そして太宰治との出会い。
私も「人間失格」は衝撃を受けましたが、又吉少年ほどの一体感は得られなかったです。
あぁぁ一緒一緒、なんでオレのことが分かるん!? とまでは思えませんでした。男女の差もあるのかな。
しかし。
変な人間に生まれてきてしまった、もうどう生きていったらいいのか分からない、でも本に出会い、自分と同じ悩みを持つ人間がいることを知った、と筆者は書いていて、そこは共感できました。
知ったからといって何も解決はしないのですが……時代も空間も超えて「それな!」を言えることがうれしい。
自分をあほだと筆者は言いますが、語彙は豊富だし、文章の緩急のつけかたなど、本当にうまいなぁ(上から)と思いました。
あ、授業中に思考がワープする感覚は私もよくわかります、あれってあほの子に共通の症状なんですかね、ふふ。
80点
「なぜ本を読むのか」をテーマにしたエッセイ。
第一章「文学との出会い」が、意外な話がけっこうあって面白かったです。
無理して明るくふるまったり、暴力を振るったりしていた少年時代。
物静かな印象しかなかったので、大人相手でも「違う」と思ったら反論していた、というあたりは驚きました。
そして太宰治との出会い。
私も「人間失格」は衝撃を受けましたが、又吉少年ほどの一体感は得られなかったです。
あぁぁ一緒一緒、なんでオレのことが分かるん!? とまでは思えませんでした。男女の差もあるのかな。
しかし。
変な人間に生まれてきてしまった、もうどう生きていったらいいのか分からない、でも本に出会い、自分と同じ悩みを持つ人間がいることを知った、と筆者は書いていて、そこは共感できました。
知ったからといって何も解決はしないのですが……時代も空間も超えて「それな!」を言えることがうれしい。
自分をあほだと筆者は言いますが、語彙は豊富だし、文章の緩急のつけかたなど、本当にうまいなぁ(上から)と思いました。
あ、授業中に思考がワープする感覚は私もよくわかります、あれってあほの子に共通の症状なんですかね、ふふ。
80点
松浦弥太郎(PHP研究所)
タイトルからして自分には合わない世界だと想像できなかったのかと、今、自身を問い詰めたい気分である。
共感できる部分もあった……
2006年から雑誌『暮らしの手帖』の編集長をしている松浦氏のエッセイ。
タイトルからして自分には合わない世界だと想像できなかったのかと、今、自身を問い詰めたい気分である。
たとえば。
「腕を組まない」。目の前の相手に対して、心を閉ざすしぐさ、足を組むのもまたしかり、傲慢でえらそうだと筆者は言う。
そんなに強い気持ちを感じてしまう人がいるとは驚いた。足を組む癖がある私としては、誰に対しても(一人のときも)それをしないという意見は厳しすぎる。
共感できる部分もあった……
孤独を受け入れ、自分の意見、自分の立場を貫くこと。軋轢や波風を恐れない強さを持つこと。そこから初めて本物のコミュニケーションが生まれる。
……が、全体的に「雑ですみません」と自分のダメさ加減に落ち込むようなところが多かった。
40点
舞城王太郎(講談社)
外科医である奈津川四郎は、アメリカで暮らしていた。彼は、母親が大怪我をしたという報せをうけ、急遽日本へ帰る。故郷の福井では、母親のみならず、主婦が殴打される事件が相次いでいた。四郎は自らの手で犯人を捕らえようと決意する。
改行がなく、疑問符や感嘆符のあとの空白もない独特の文体は、みっしりと詰まった、主人公のエネルギーのようである。
四郎は、ひねくれ者で暴力的だが、なぜだか憎めない。それは(正しいかどうかは別にして)とにかく己のポリシーに従って行動してるから、かもしれない。
奈津川四兄弟の描写も面白かった。特に「TEN」、「ELEVEN」の章で語られる、主に父親と二郎に関するエピソードは、呆れながらもぞくぞくしながら読んだ。
ただ、まるで……少年マンガのようではあったが。
70点
外科医である奈津川四郎は、アメリカで暮らしていた。彼は、母親が大怪我をしたという報せをうけ、急遽日本へ帰る。故郷の福井では、母親のみならず、主婦が殴打される事件が相次いでいた。四郎は自らの手で犯人を捕らえようと決意する。
改行がなく、疑問符や感嘆符のあとの空白もない独特の文体は、みっしりと詰まった、主人公のエネルギーのようである。
四郎は、ひねくれ者で暴力的だが、なぜだか憎めない。それは(正しいかどうかは別にして)とにかく己のポリシーに従って行動してるから、かもしれない。
奈津川四兄弟の描写も面白かった。特に「TEN」、「ELEVEN」の章で語られる、主に父親と二郎に関するエピソードは、呆れながらもぞくぞくしながら読んだ。
ただ、まるで……少年マンガのようではあったが。
70点
前川やく(有限会社鉤屋)
ごく普通のサラリーマン、前川氏の書き下ろしエッセイ。
前川氏のサイト「スレッジハンマーウェブ」(2005年閉鎖)も非常に面白いのだが、この本もまた、私のツボにぐりぐりとはまった一冊であった。
「この世に並んでまで食うほどのものはない」とか「ホキ徳田のホキって?」とか「『萩の月』ならぬ『荻の月』ってのを見た」とか、本当に果てしなく面白かった。
文章も落ち着いていて読みやすく、静かで皮肉な調子がすっかり気に入ってしまった。
採点なし
ごく普通のサラリーマン、前川氏の書き下ろしエッセイ。
前川氏のサイト「スレッジハンマーウェブ」(2005年閉鎖)も非常に面白いのだが、この本もまた、私のツボにぐりぐりとはまった一冊であった。
「この世に並んでまで食うほどのものはない」とか「ホキ徳田のホキって?」とか「『萩の月』ならぬ『荻の月』ってのを見た」とか、本当に果てしなく面白かった。
文章も落ち着いていて読みやすく、静かで皮肉な調子がすっかり気に入ってしまった。
採点なし