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よしなしごとども 書きつくるなり
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川上弘美(講談社)

 短編集。「森」が印象深かった。
 法事で実家に戻った「私」は、幼なじみの祐一に25年ぶりで再会する。50歳になった二人の、淡い、つかの間の恋を描く。

 たまに自分が50歳になったときのことを考える。きっと誰かを好きになったりはもうしないのだろうな、と思う。でもこの小説を読んで、50歳の恋もいいな、と思い直した。
 二人のこなれた雰囲気、残っている若さを、静かに確かめ合えるような関係が、そう思わせてくれた。
 退屈な短編もあったが、全体としては、ちびちび少しずつ楽しんで読むことができた。
70点
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川上弘美(マガジンハウス)

 短編集。
 「コーヒーメーカー」が良かった。
 恋人である中林さんに、会いたくて仕方がない杏子の一週間。本の帯にも書かれている一節が、とても印象深かった。
 『あいたいよ。あいたいよ。二回、言ってみる。それからもう一回。あいたいよ。』
 簡潔に、ただただ簡潔に心情を述べているだけっぽいのに、この切なさはどうだろう。
 言葉を飾らなくても心に響く文章は書ける、ということの見本のような一節ではないだろうか。

 他に、その後の杏子を描いたと思われる「山羊のいる草原」も良かった。人の心の移ろいを、静かに丁寧に描いていて、良かった。
80点
川上弘美(中央公論新社)

 結婚して二年ほど経った35歳のリリ。彼女は夜の公園で知り合った暁と、なんとなく関係を結ぶ。
 リリの夫・幸夫。彼はリリの友人である春名と不倫関係にある。
 その春名は、幸夫の他にも男性がいる。7歳年下の悟。暁と悟は兄弟であった……。

 粗筋を書いて気付いた。これじゃあまるで三流小説じゃないか。
 しかし作品を読んでいるときは、その圧倒的な「さりげなさ」に飲み込まれて、卑猥さも陳腐さもさほど感じなかった。主人公のリリが、あまりにも私好みの女性だからかもしれない。
 夫を好きではなくなった自分を客観視できるリリ。不思議な清潔さを身に纏っているリリ。一人でいるのが似合うリリ。
 決して損なわれることのない彼女の気品がストーリーの中枢に在って、全体を引き締めている。

 春名もまた、この作品に欠くことのできない存在であろう。
 リリと対極にある彼女は、とてもなまめかしくて刹那的だ。自分を「あたし」と呼ぶ春名。その下品な感じが、彼女らしくていい。
85点
川上弘美(日本経済新聞社)

 いろいろな場所についてのエッセイ。
 一番興味を引かれたのが、公園デビューの話。と言ってもたまたま預かった親類の赤ちゃんを連れて公園へ行ったときの話である。
 ひとりで公園に行ったときには、話したこともなかった子連れママたち。でも赤ちゃん連れなら、あっという間にディープな話題まで提供してくれたという。
 川上氏は、そんなママたちを蔑むでもなく、ただただ不思議な光景として描いている。

 それから、自分の独創性のなさもあっさりと認めている。とっても普通で標準的。作家たるもの「他人とは違う自分」を演出しそうなものなのに……その潔さに驚かされた。
90点
川上弘美(平凡社)

 雑誌に連載した日記をまとめた作品。
 川上サン、相変わらずである。相変わらず楽しげに、ほよよーんと生活されているようである。
 その力の抜けっぷりがあまりに可愛らしくて、何だか小憎らしくなってくる。自分だけ楽しんでてずるい、と思えてくる。

 そして、自分と川上氏の共通点をまたみつけてうきうきする。川上氏も花粉症らしい。目のかゆさに関する記述がまた素晴らしい。
 目玉の表面に小人が何百人と並んで行進してゆくようなかゆさ、しかも小人たちの靴の底はちょっと毛羽立ったフェルト……微妙にかゆい感覚をこんなふうに表現できるなんて、やっぱりずるい。
100点
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