川上弘美(中央公論新社)
結婚して二年ほど経った35歳のリリ。彼女は夜の公園で知り合った暁と、なんとなく関係を結ぶ。
リリの夫・幸夫。彼はリリの友人である春名と不倫関係にある。
その春名は、幸夫の他にも男性がいる。7歳年下の悟。暁と悟は兄弟であった……。
粗筋を書いて気付いた。これじゃあまるで三流小説じゃないか。
しかし作品を読んでいるときは、その圧倒的な「さりげなさ」に飲み込まれて、卑猥さも陳腐さもさほど感じなかった。主人公のリリが、あまりにも私好みの女性だからかもしれない。
夫を好きではなくなった自分を客観視できるリリ。不思議な清潔さを身に纏っているリリ。一人でいるのが似合うリリ。
決して損なわれることのない彼女の気品がストーリーの中枢に在って、全体を引き締めている。
春名もまた、この作品に欠くことのできない存在であろう。
リリと対極にある彼女は、とてもなまめかしくて刹那的だ。自分を「あたし」と呼ぶ春名。その下品な感じが、彼女らしくていい。
85点
結婚して二年ほど経った35歳のリリ。彼女は夜の公園で知り合った暁と、なんとなく関係を結ぶ。
リリの夫・幸夫。彼はリリの友人である春名と不倫関係にある。
その春名は、幸夫の他にも男性がいる。7歳年下の悟。暁と悟は兄弟であった……。
粗筋を書いて気付いた。これじゃあまるで三流小説じゃないか。
しかし作品を読んでいるときは、その圧倒的な「さりげなさ」に飲み込まれて、卑猥さも陳腐さもさほど感じなかった。主人公のリリが、あまりにも私好みの女性だからかもしれない。
夫を好きではなくなった自分を客観視できるリリ。不思議な清潔さを身に纏っているリリ。一人でいるのが似合うリリ。
決して損なわれることのない彼女の気品がストーリーの中枢に在って、全体を引き締めている。
春名もまた、この作品に欠くことのできない存在であろう。
リリと対極にある彼女は、とてもなまめかしくて刹那的だ。自分を「あたし」と呼ぶ春名。その下品な感じが、彼女らしくていい。
85点
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