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異人たちの館

折原一(新潮社)

 売れない作家が、行方不明になっている男の伝記を書く仕事を依頼される。男の素性を調べていくうちに、自らも事件に巻き込まれていく。

 総論賛成、各論反対。細部で納得しかねるところが多い。樹海から奇跡的に脱出とか、幼児殺害の理由とか、不審な尾行者のしたこととか。ネタバレになるのでこれ以上書けないが、どれもこれも方法や動機が弱いと思う。
 それと男の妹「ユキ」の設定が変。無意味に魔性の女しているし。
 というわけで引っかかりはあるものの、読後感は悪くない。構成の妙ってやつですかね。
65点
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小説以外

恩田陸(新潮社)

 (うわぁ、「ライオンハート」の感想、ひどいですね。そんなことも忘れて読んじまいました。すみません)
 デビューから十四年間の全エッセイ。
 恩田氏の小説とは相性が悪いけど、エッセイなら……という淡い期待を持って本書を読み始めたが、まぁ可もなく不可もなくという読後感であった。

 年齢が近いので「あぁ知ってる知ってる」という話がいくつかあって、そういう意味では楽しめた。米飯給食の始まりとか、『ガラスの仮面』の連載の始まりとか。
 以下、余談めいた話。筆者は水戸一高出身なのだが、その高校は私が通える範囲の中で、いや、県で一、二を争う進学校だ。世が世なら(って、何がどうなってもありえないけど)筆者と同じ学校で過ごせたかと思うと不思議な感じがした。
60点

ライオンハート

恩田陸(新潮社)

 エドワードとエリザベス。二人は時間を越え、空間を越えて幾度となく出会う。出会うたびに絶望的な別れを繰り返しながら……。

 読み終えて、呆気に取られてしまった。だから何なんだ、と。そして数々の疑問がわいてきた。
 これは輪廻に関する話なのだろうか。その場合、主役の二人が絶世の美男美女である必要性はあるのだろうか。
 なぜ登場人物が外国人なのだろうか。陳腐としか言いようがないキザなセリフは、それで格好がつくとでも思ったのだろうか。
 筆者は自分が好きな音楽や小説にインスパイア(?)されて本作品を書いたそうだが、どうりで独りよがりな雰囲気がぷんぷん漂っているはずである。

 (もう恩田氏の作品は読みません。こんな感想、自分も書きたくないし、ファンの方からしたら怒り心頭だろうし)
20点

ドミノ

恩田陸(角川書店)

 その日、多くの人間が東京駅に来ていた。俳句のオフ会の待ち合わせをしてる老人あり。会社で配るお菓子を買いに来た、保険会社のOLあり。オーディションの帰りに、たまたま立ち寄った子役の卵あり。
 そんな人々の運命が、重なり合いもつれあい、東京駅は次第に混乱のるつぼと化してゆく。

 群像劇というよりはドタバタ劇か。でも恩田氏を見直すほど面白かった。謎めいた「MAZE」などよりよっぽど好きになれた。
 ただ、フォントをいじるのは止めて欲しい。素人の作家じゃあるまいし。
75点

MAZE

恩田陸(双葉社)

 人もおいそれとは近付けないような荒野に、ぽつんと建つ「白い箱」。中に入った人間が消えてしまうその建物に、どんな秘密が隠されているのだろうか。調査に訪れた四人の男たちの一週間を描く。

 出だしは建物の謎に惹きつけられて、楽しんで読むことができた。
 だが後半はいただけない。特にあるページの最初の一行。これは卑怯だ。こういうことをしないで読者を怖がらせるのがミステリーだろう(読んでないかたには訳ワカラン文章ですみません)。ラストも何が言いたいのかよく分からない。

 どうやら恩田氏の作品は私には合わないらしい。もう読まないほうが良いかも。
65点

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