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アイナール・トゥルコウスキィ(河出書房新社)
見知らぬ男が船でやってきて、一軒の廃屋に住みついた。
町の人たちは男のことが気になってならない。
どうやら男は雲を操って、そこから魚を獲るらしい……。
一本のシャーペンで描かれたという絵の、その緻密さに驚いた。
当然モノクロなのだが、そこには色彩を超越した陰影があり、独特の質感が広がっている。
狡猾そうな町の人々の表情、黒く垂れ込める雲、不気味な機械の数々。
見ているだけで不穏な気分になる刺激的な絵は、一見の価値がある。
見知らぬ男が船でやってきて、一軒の廃屋に住みついた。
町の人たちは男のことが気になってならない。
どうやら男は雲を操って、そこから魚を獲るらしい……。
一本のシャーペンで描かれたという絵の、その緻密さに驚いた。
当然モノクロなのだが、そこには色彩を超越した陰影があり、独特の質感が広がっている。
狡猾そうな町の人々の表情、黒く垂れ込める雲、不気味な機械の数々。
見ているだけで不穏な気分になる刺激的な絵は、一見の価値がある。
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ジョン・ペーメルマンス・マルシアーノ(BL出版)
パリに住む12人の女の子たち。彼女たちと一緒に学ぶ、人と接するときのマナー。
小さな女の子が、ちょっと気取って挨拶するさまが可愛い。
「ありがとう」を言いましょう、たとえ既に七つも持っているものを貰ったときでも。
人の話は最後まで聞きましょう、それを遮っていいのは、火事になった家を見つけたときです。
等々、大のおとなでもはっとさせられる部分があって、思わず苦笑してしまった。
パリに住む12人の女の子たち。彼女たちと一緒に学ぶ、人と接するときのマナー。
小さな女の子が、ちょっと気取って挨拶するさまが可愛い。
「ありがとう」を言いましょう、たとえ既に七つも持っているものを貰ったときでも。
人の話は最後まで聞きましょう、それを遮っていいのは、火事になった家を見つけたときです。
等々、大のおとなでもはっとさせられる部分があって、思わず苦笑してしまった。
ウルスラ・ジェナジーノ、ヨゼフ・ウィルコン(セーラー出版)
一人暮らしのミンケパットさん。
彼は小鳥のさえずるメロディにあわせて、古いピアノをいつも弾いていた。
近所の人々はそれを迷惑がったが、小鳥たちはいつしか彼の家に集まるようになり……。
気難しそうなミンケパットさん。
笑顔の絵はひとつもないのだが、小鳥たちといっしょに描かれた彼は、とても優しそうに見える。
色味を抑えた渋い挿絵も良いのだが、ストーリーもまた良い。
孤独な老人にも春は訪れる。
そのシンプルさが良い。
一人暮らしのミンケパットさん。
彼は小鳥のさえずるメロディにあわせて、古いピアノをいつも弾いていた。
近所の人々はそれを迷惑がったが、小鳥たちはいつしか彼の家に集まるようになり……。
気難しそうなミンケパットさん。
笑顔の絵はひとつもないのだが、小鳥たちといっしょに描かれた彼は、とても優しそうに見える。
色味を抑えた渋い挿絵も良いのだが、ストーリーもまた良い。
孤独な老人にも春は訪れる。
そのシンプルさが良い。
内田百閒(パロル舎)
短編集。六つの作品が収められている。
『件(くだん)』がよかった。
からだが牛で顔だけ人間の「件」になってしまった「私」。
「件」は何らかの予言をするというが「私」は何を予言したらいいのか分からない。
人々が集まってきて途方に暮れる「私」。
百閒の謎めいた文章もすばらしいが、版画がまた良い。
おどろおどろしく、それでいてどことなく滑稽。
「件」のラストの絵がカバーにも描かれているが、物語のラストのおかしみをうまく表現していると思う。
短編集。六つの作品が収められている。
『件(くだん)』がよかった。
からだが牛で顔だけ人間の「件」になってしまった「私」。
「件」は何らかの予言をするというが「私」は何を予言したらいいのか分からない。
人々が集まってきて途方に暮れる「私」。
百閒の謎めいた文章もすばらしいが、版画がまた良い。
おどろおどろしく、それでいてどことなく滑稽。
「件」のラストの絵がカバーにも描かれているが、物語のラストのおかしみをうまく表現していると思う。
エリック・バトゥー、谷内こうた(講談社)
1月から12月まで、自然の中で生きる動物たちの想いを描いた一冊。
どの絵も、広々とした場所があって、そこに動物がちょこんと描かれている。
動物たちはみなユーモラスで可愛い。
「1月、まっている……」で始まる月々の短い言葉も、絵の邪魔になることなく良い味を出している。
それにしても11月は、もうさむい……って。
私の生まれ月は、作家でさえしゃれたことが言えない月なのか?
1月から12月まで、自然の中で生きる動物たちの想いを描いた一冊。
どの絵も、広々とした場所があって、そこに動物がちょこんと描かれている。
動物たちはみなユーモラスで可愛い。
「1月、まっている……」で始まる月々の短い言葉も、絵の邪魔になることなく良い味を出している。
それにしても11月は、もうさむい……って。
私の生まれ月は、作家でさえしゃれたことが言えない月なのか?