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怪笑小説

東野圭吾(集英社)

 短編集。
 『おっかけバアさん』が面白かった。
 夫を亡くし、つましく暮らしていたおばあさん。ところがある役者に入れ揚げるようになり、全てを失ってゆく、というストーリー。

 こういうことは年齢に関係なく起こり得ることだと思うが、主人公が歳を取ってる分だけ余計に哀れで、情けなさが倍加する。
 オチも凄まじいが、でもおばあさんは本懐を遂げたふうにも取れ、だからこそ「笑って」いたのかもしれない。
65点
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鉄道員

浅田次郎(集英社)

 短編集。私は表題作より「うらぼんえ」が好き。
 嫁という立場で、四面楚歌で、艱難辛苦してるとき、じいちゃんが助太刀に来てくれる……あの世から。
 いくつになっても、たとえ死んでも、孫がかわいいというじいちゃんの慈愛に、敬服。
 その他の話も粒ぞろいで甲乙付け難く、泣かされた。
95点

ブーアの森

せがわきり・忌野清志郎(TOKYO FM出版)

 敬愛する忌野清志郎が、初めて画筆をとった絵本、ということで読んでみた。
 しょうくんが森で出会った「ブーア」という生き物。ブーアは、酸性雨や、汚れた池の水によって次第に弱ってゆく……。

 娘には分かりづらい内容だったかもしれないが、大人の私は清志郎の絵を楽しんだ。色が溢れていて過剰な感じが、ストーリーに合っていると思った。
 また、この本の収益の一部は、富士山などの環境保全活動に役立てられているそうなので、そういう意味においてもオススメの一冊である。
80点

毒笑小説

東野圭吾(集英社)

 十二編の短編集。タイトル通り、毒のある話が多い。
 私が気に入ったのは『手作りマダム』。
 手作り大好きな主婦が、団地内の主婦を集めて頻繁にティーパーティを催す。
 手作りの品々はどれも粗悪なものばかり。だが上司の夫人なので、それを指摘するわけにも行かず……。

 本当にありそうな話である。と思ったら、文庫巻末にある京極夏彦氏との対談で「さんざん自分が迷惑した」と書かれていた。
 それから「ホームアローンじいさん」の、おのれの欲望に振り回されるじいさん。これも実際いそうな感じである。
70点

厄落とし

瀬川ことび(角川書店)

 ホラー短編集。いずれの作品も軽くて面白い。肩の力が抜けて行くホラーである。
 「初心者のための能楽鑑賞」が特に気に入った。好きな子に「能」に誘われ、仕方なく付き合う男。何度か公演を観るたびに、彼の周囲で不可思議なことが起こる。
 能に関するうんちくも興味深いし、最後のオチも深刻ぶらないところが良い。
75点

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