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よしなしごとども 書きつくるなり
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中山可穂(集英社)

 とある小劇団の主宰者にして同性愛者のミチル。
 主演女優に逃げられ、昔の「男」も彼女を裏切ろうとしている。そんななか、公演の初日が訪れて……。

 とことん利己主義のミチル、彼女に振り回される男と女。こんなに「何様?」な女も珍しいと思う。
 だいたい同性愛や潰れそうな小劇団って、私が最も興味の無い分野(?)なのである。特に同性愛の部分は、ミチルがあまりにもインランで頭悪そうで、引きまくってしまった。
 極め付きはミチルが金持ちの老婆と一晩を過ごす場面。悪趣味としか言いようがない。
 いくらブンガク的文章でカムフラージュしても、低俗は低俗なのである。
30点
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室井滋(文藝春秋社)

 私ったら、いつのまにエッセイを書いてしまったのかしら?と思ったほど、私が経験したことが書かれていた。
 まず「満開少女」。
 病弱を気取りたくて、友人に自分は心臓弁膜症だと言ってしまう話。私もいつか白血病になるはずだと思い込んでいた。
 それから「赤目」。
 突然白目の部分が真っ赤になってしまった話。
 それは充血と呼ぶにはあまりに激しい、血を塗ったような「赤」で、私も驚いて医者に駆け込んだことがある。毛細血管が切れただけで、あまり心配はなかったのだが。
 他にも俳優ならではの面白い経験がたくさん載っていて、楽しく読めた。
70点
村上春樹(新潮社)

 不思議な村上ワールド。現実的でいて、非現実的。
 印象に残っているのは間宮中尉の長い話。彼は囚われの身となり、自分は殺されるかもしれない、という恐ろしい立場にいた。そこで「モンゴル人は昔から残忍な方法で人を殺してきた」という事実を知らされ、目の前で人間の皮を剥ぐシーンを見せ付けられる。これ以上の恐怖は存在しないだろう。
75点
中山庸子(光文社)

 お金持ちじゃなくても心の持ちようで「ぜいたく」な生活が送れる、というエッセイ。
 こぎれいなオバサマの、等身大エッセイ。特別なことはあまり書いてないので、気楽に読める本である。
 ただ、けっこう優等生的発言が多いので、そういうものに拒否反応を感じる方は読まないほうが良いかもしれない。
55点
望月諒子(集英社)

 文芸誌の編集長である三村は、あるとき広瀬と名乗る医師からの連絡を受ける。彼の患者が突然小説を書き始めた、患者は三村のことを知っていて、彼に原稿を送ると言っているという。
 小説のタイトルや内容を聞いて、三村は愕然とする。それは失踪したある作家志望の女性が、以前彼に見せたそれと同じだったのだ……。

 途中まではホラーの匂い漂うストーリーなのだが、ミステリーらしいオチもあり、霊が、怨念が、というただ怖いだけの話ではなかったのが良かった。
 ただ、いろいろな要素が絡み合って……失踪した女性の行方、盗作疑惑、幼児誘拐事件……少々盛り込みすぎの感がある。作中作の引用もしつこ過ぎる気がした。
75点
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