Back To The Past
よしなしごとども 書きつくるなり
コキール男爵
そね(有限会社鉤屋)
そね氏のエッセイ第二弾。
今回は「食」に関する話である。巷に溢れる、単なる「おいしい店の紹介本」や「レシピ本」とは一線を画す、ユニークな一冊である。
特に激しく同意、と思ったのは「レタス」の話。ランチメニューに付いてくる、あのレタスをちぎっただけのサラダ。あれは私も許せない。心から「要らない」と言いたい。
ただ、今回は手放しでこの本をお薦めすることは、個人的に思うことがあってできない。それでも、と仰るかたはそね氏のサイト「鉤屋」をご覧下さい。
採点なし
※追記 2012年現在、上記サイトは閉鎖されております。
そね氏のエッセイ第二弾。
今回は「食」に関する話である。巷に溢れる、単なる「おいしい店の紹介本」や「レシピ本」とは一線を画す、ユニークな一冊である。
特に激しく同意、と思ったのは「レタス」の話。ランチメニューに付いてくる、あのレタスをちぎっただけのサラダ。あれは私も許せない。心から「要らない」と言いたい。
ただ、今回は手放しでこの本をお薦めすることは、個人的に思うことがあってできない。それでも、と仰るかたはそね氏のサイト「鉤屋」をご覧下さい。
採点なし
※追記 2012年現在、上記サイトは閉鎖されております。
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ゆれる
西川美和(ポプラ社)
家業を継いで実家に残った兄・稔。地元を離れて東京でカメラマンになった弟・猛。法事で久しぶりに故郷に帰った猛は、幼なじみである智恵子と再会する。そして三人でドライブに出掛けたとき、事件は起きた……。
各章ごとに語り手が変わるのだが、その色の変え方がとてもうまい。ワルぶって尖がっているが、ことが起きると保身にはしる猛。優しくて温厚だが、実は得体の知れない何かを隠している稔。二人のひと言ひと言が、その内面を見事にあぶりだす。
脇役たちの章も、それぞれに良かった。息がつまりそうな田舎で不満を抱えつつも、穏やかに、身の丈にあった生活を送る人々。だが彼らの「日常」も案外もろい。その危うさを、筆者は冷徹な目で描き出している。
85点
家業を継いで実家に残った兄・稔。地元を離れて東京でカメラマンになった弟・猛。法事で久しぶりに故郷に帰った猛は、幼なじみである智恵子と再会する。そして三人でドライブに出掛けたとき、事件は起きた……。
各章ごとに語り手が変わるのだが、その色の変え方がとてもうまい。ワルぶって尖がっているが、ことが起きると保身にはしる猛。優しくて温厚だが、実は得体の知れない何かを隠している稔。二人のひと言ひと言が、その内面を見事にあぶりだす。
脇役たちの章も、それぞれに良かった。息がつまりそうな田舎で不満を抱えつつも、穏やかに、身の丈にあった生活を送る人々。だが彼らの「日常」も案外もろい。その危うさを、筆者は冷徹な目で描き出している。
85点
完全無欠の名探偵
西澤保彦(講談社)
富豪の源衛門は、孫娘りんの動静を探るため一人の男を彼女の元へ送り込む。その男、山吹みはるは不思議な能力を持つ男だった。彼と会話を交わしたものは、本人も忘れていた事柄を思い出し、さらに深い考察をすることになり、思いも寄らぬ事実を発見するのだった。
変わった設定で面食らったが、みはるの性格の良さゆえか、読む気が失せるということはなかった。
みはるは何もしてないのに、事件の真相が次々に明らかになってゆく過程は爽快感があったが、同時に登場人物が多すぎてくどい感じも受けた。
80点
富豪の源衛門は、孫娘りんの動静を探るため一人の男を彼女の元へ送り込む。その男、山吹みはるは不思議な能力を持つ男だった。彼と会話を交わしたものは、本人も忘れていた事柄を思い出し、さらに深い考察をすることになり、思いも寄らぬ事実を発見するのだった。
変わった設定で面食らったが、みはるの性格の良さゆえか、読む気が失せるということはなかった。
みはるは何もしてないのに、事件の真相が次々に明らかになってゆく過程は爽快感があったが、同時に登場人物が多すぎてくどい感じも受けた。
80点
スタジアム 虹の事件簿
青井夏海(東京創元社)
連作短編集。
万年最下位のプロ野球球団「東海レインボーズ」。球団のオーナーである多佳子が、いろいろな事件の謎解きをする。
野球の試合内容と、事件の動機などが絡み合うという、斬新な手法が楽しめた。
完全試合目前、たった一球の判定でがたがたに崩れていくピッチャー。
完全犯罪を企む犯罪者も、小さなほころびから信じ難い失敗をしてしまう……そんな繋がりが無理なく描かれている。
また、野球を知らない人でも知らないなりに楽しめる作品だと思う。
75点
連作短編集。
万年最下位のプロ野球球団「東海レインボーズ」。球団のオーナーである多佳子が、いろいろな事件の謎解きをする。
野球の試合内容と、事件の動機などが絡み合うという、斬新な手法が楽しめた。
完全試合目前、たった一球の判定でがたがたに崩れていくピッチャー。
完全犯罪を企む犯罪者も、小さなほころびから信じ難い失敗をしてしまう……そんな繋がりが無理なく描かれている。
また、野球を知らない人でも知らないなりに楽しめる作品だと思う。
75点
縦走路
新田次郎(新潮社)
登山仲間である蜂屋と木暮。二人は八ヶ岳で、千穂という女性と出会う。
彼女は、女流登山家は不細工である、という定説を覆す美女であった。だが彼女はまれに見る自分本位な人間であった。
二人の男は、彼女に振り回されつつも、彼女に惹かれてゆく……。
鼻持ちならない千穂にイライラし通しだった。
彼女の学生時代のライバル、美根子という女性が登場するが、彼女は不倫していたり、好きな男性を姑息な手段で手に入れようとしたりする。
でも千穂の性格よりまだ彼女のほうがマシな気がした。
ところで、木暮が登山に向かう蜂屋に、ナイロンザイルを渡そうとするシーンがある。蜂屋は「前穂高でナイロンザイルの切断事故があった」という話をする。
これは先日読んだ井上靖の「氷壁」のことであろう。
作品どうしがこういうふうに繋がってゆくのはとても興味深い。
60点
登山仲間である蜂屋と木暮。二人は八ヶ岳で、千穂という女性と出会う。
彼女は、女流登山家は不細工である、という定説を覆す美女であった。だが彼女はまれに見る自分本位な人間であった。
二人の男は、彼女に振り回されつつも、彼女に惹かれてゆく……。
鼻持ちならない千穂にイライラし通しだった。
彼女の学生時代のライバル、美根子という女性が登場するが、彼女は不倫していたり、好きな男性を姑息な手段で手に入れようとしたりする。
でも千穂の性格よりまだ彼女のほうがマシな気がした。
ところで、木暮が登山に向かう蜂屋に、ナイロンザイルを渡そうとするシーンがある。蜂屋は「前穂高でナイロンザイルの切断事故があった」という話をする。
これは先日読んだ井上靖の「氷壁」のことであろう。
作品どうしがこういうふうに繋がってゆくのはとても興味深い。
60点
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