Back To The Past
よしなしごとども 書きつくるなり
レインツリーの国
有川浩(新潮社)
昔読んだ本の感想をネット上で見つけた伸行。物語のラストに納得できず、ずっと心に引っ掛かっていた彼は、それを書いた「ひとみ」にメールを送る。そこから二人の交流が始まり……。
そうとは思わずにこてこての恋愛モノを読んでしまった。ま、でもなかなか良かった。
障害をもつひとみは、ときに手が付けられないほどわがままになる。伸行も彼女を理解しようと努力するが、的外れなことをしたりしてしまう。二人の想いがすれ違うたび、苛立ちが募る。
ひとみは本当に「面倒な女」だ。今まで受けたいろいろな不親切、無理解を、全部伸行にぶつけて彼を試す。普通の男性ならすぐに嫌になるだろう。でも伸行は我慢強く彼女に付き合う。惚れた弱みか、とてつもない包容力のなせるわざか。
こんな男性いないよなぁと思いつつ、彼の優しさにほだされて(?)一気に読了させられてしまった。それでもやっぱり、こんな男性はいないと思う。しつこい?
70点
昔読んだ本の感想をネット上で見つけた伸行。物語のラストに納得できず、ずっと心に引っ掛かっていた彼は、それを書いた「ひとみ」にメールを送る。そこから二人の交流が始まり……。
そうとは思わずにこてこての恋愛モノを読んでしまった。ま、でもなかなか良かった。
障害をもつひとみは、ときに手が付けられないほどわがままになる。伸行も彼女を理解しようと努力するが、的外れなことをしたりしてしまう。二人の想いがすれ違うたび、苛立ちが募る。
ひとみは本当に「面倒な女」だ。今まで受けたいろいろな不親切、無理解を、全部伸行にぶつけて彼を試す。普通の男性ならすぐに嫌になるだろう。でも伸行は我慢強く彼女に付き合う。惚れた弱みか、とてつもない包容力のなせるわざか。
こんな男性いないよなぁと思いつつ、彼の優しさにほだされて(?)一気に読了させられてしまった。それでもやっぱり、こんな男性はいないと思う。しつこい?
70点
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ニッポンの嵐
嵐(角川グループパブリッシング)
2010年春。嵐の5人がそれぞれの興味の赴くまま、日本各地へ旅した……全国の小・中・高等学校へ贈られた本のポケット版。
これだけの人気グループの一員なら、おそらくどこへ行っても誰と会ってもあまり拒絶されることは無いだろう。そういったことを差し引いて考えても、5人は常にすっと場に溶け込む能力を持っているような気がした。
櫻井くんの旅を紹介したいところだが、松本潤くんの旅がとても印象に残った。隠岐の島で暮らす人々に会う旅。身の丈に合った暮らしで、日々を豊かに暮らす人々。島の魅力は「人」だと言い切る高校生。こんなすごい場所が日本にあるなんて……老後は離島もいいな、なんて柄にもなく思ってしまった。
余談ですが。
ポケット版ということで、寄贈版をそのまま縮小したのはわかるけど、字が小さすぎてつらかったー。
採点なし
2010年春。嵐の5人がそれぞれの興味の赴くまま、日本各地へ旅した……全国の小・中・高等学校へ贈られた本のポケット版。
これだけの人気グループの一員なら、おそらくどこへ行っても誰と会ってもあまり拒絶されることは無いだろう。そういったことを差し引いて考えても、5人は常にすっと場に溶け込む能力を持っているような気がした。
櫻井くんの旅を紹介したいところだが、松本潤くんの旅がとても印象に残った。隠岐の島で暮らす人々に会う旅。身の丈に合った暮らしで、日々を豊かに暮らす人々。島の魅力は「人」だと言い切る高校生。こんなすごい場所が日本にあるなんて……老後は離島もいいな、なんて柄にもなく思ってしまった。
余談ですが。
ポケット版ということで、寄贈版をそのまま縮小したのはわかるけど、字が小さすぎてつらかったー。
採点なし
十角館の殺人
綾辻行人(講談社)
これがデビュー作という事実にまず驚いた。話の展開はスピーディーだし、犯人の正体には意外性はなかったが、トリックはよくできていると思う。
しかぁし!
今回私が一番言いたいことは文庫版の解説について。何が言いたいんだ、鮎川哲也氏。
まず、クリスティの「そして誰もいなくなった」とこの作品を比較している点。初めに作り出すことの難しさを、故意に無視しているように感じられる。改造してより良くなるのは、至極当然の事であろう。
そして一部の読者が評論家気取りで新人を叩くのが面白くない、と。そんなことを「解説」に書くこと自体どうかと思うし、つまらない作品を読んだら誰しも「つまらない」と言ってしまうと思うがどうだろうか。
80点
これがデビュー作という事実にまず驚いた。話の展開はスピーディーだし、犯人の正体には意外性はなかったが、トリックはよくできていると思う。
しかぁし!
今回私が一番言いたいことは文庫版の解説について。何が言いたいんだ、鮎川哲也氏。
まず、クリスティの「そして誰もいなくなった」とこの作品を比較している点。初めに作り出すことの難しさを、故意に無視しているように感じられる。改造してより良くなるのは、至極当然の事であろう。
そして一部の読者が評論家気取りで新人を叩くのが面白くない、と。そんなことを「解説」に書くこと自体どうかと思うし、つまらない作品を読んだら誰しも「つまらない」と言ってしまうと思うがどうだろうか。
80点
思い出を切りぬくとき
萩尾望都(河出書房新社)
漫画家・萩尾望都が20代の頃に書いたエッセイ。
「ポーの一族」を夢中になって読んでいた一人としては、これは読まねばなるまい、と手に取った。期待を裏切らない愉快なエッセイであった。
「トーマの心臓」が連載打ち切りになるところだった、とか。
美内すずえ氏、青池保子氏は、論理的思考が出来る人、逆は自分とささやななえ氏、とか、そんな裏話にぞくぞくした。
また、萩尾氏独自の視点で書かれた「パリで観た近代能楽集」や「バレエ」の話も興味を惹かれた。
ダンサー・バリシニコフの美しさについて「百年前に生まれても百年後に生まれても見ることができない、脳ミソがふっ飛んでしまうような芸術を、今、同時代に生きて見ることができる」と書いている。
バレエでなくても、そう言わしめるプロ中のプロの技を、死ぬまでに一度はナマで拝みたいものである。
70点
漫画家・萩尾望都が20代の頃に書いたエッセイ。
「ポーの一族」を夢中になって読んでいた一人としては、これは読まねばなるまい、と手に取った。期待を裏切らない愉快なエッセイであった。
「トーマの心臓」が連載打ち切りになるところだった、とか。
美内すずえ氏、青池保子氏は、論理的思考が出来る人、逆は自分とささやななえ氏、とか、そんな裏話にぞくぞくした。
また、萩尾氏独自の視点で書かれた「パリで観た近代能楽集」や「バレエ」の話も興味を惹かれた。
ダンサー・バリシニコフの美しさについて「百年前に生まれても百年後に生まれても見ることができない、脳ミソがふっ飛んでしまうような芸術を、今、同時代に生きて見ることができる」と書いている。
バレエでなくても、そう言わしめるプロ中のプロの技を、死ぬまでに一度はナマで拝みたいものである。
70点
萩原朔太郎詩集
萩原朔太郎(新潮社)
朔太郎は誕生日が一緒なので、勝手に親近感を覚えていた。
が、彼の詩は感受性が豊かな人にしか味わえないものであろう。私など「失格」なのである、本当は。
この詩集は悲しい言葉が多い。あらゆるものを突き放したい。そう言いながらも寂寥感に押しつぶされそうな自分。そんなイメージを抱かせる詩集であった。
60点
朔太郎は誕生日が一緒なので、勝手に親近感を覚えていた。
が、彼の詩は感受性が豊かな人にしか味わえないものであろう。私など「失格」なのである、本当は。
この詩集は悲しい言葉が多い。あらゆるものを突き放したい。そう言いながらも寂寥感に押しつぶされそうな自分。そんなイメージを抱かせる詩集であった。
60点
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