忍者ブログ

鉄道員

浅田次郎(集英社)

 短編集。私は表題作より「うらぼんえ」が好き。
 嫁という立場で、四面楚歌で、艱難辛苦してるとき、じいちゃんが助太刀に来てくれる……あの世から。
 いくつになっても、たとえ死んでも、孫がかわいいというじいちゃんの慈愛に、敬服。
 その他の話も粒ぞろいで甲乙付け難く、泣かされた。
95点
PR

ブーアの森

せがわきり・忌野清志郎(TOKYO FM出版)

 敬愛する忌野清志郎が、初めて画筆をとった絵本、ということで読んでみた。
 しょうくんが森で出会った「ブーア」という生き物。ブーアは、酸性雨や、汚れた池の水によって次第に弱ってゆく……。

 娘には分かりづらい内容だったかもしれないが、大人の私は清志郎の絵を楽しんだ。色が溢れていて過剰な感じが、ストーリーに合っていると思った。
 また、この本の収益の一部は、富士山などの環境保全活動に役立てられているそうなので、そういう意味においてもオススメの一冊である。
80点

毒笑小説

東野圭吾(集英社)

 十二編の短編集。タイトル通り、毒のある話が多い。
 私が気に入ったのは『手作りマダム』。
 手作り大好きな主婦が、団地内の主婦を集めて頻繁にティーパーティを催す。
 手作りの品々はどれも粗悪なものばかり。だが上司の夫人なので、それを指摘するわけにも行かず……。

 本当にありそうな話である。と思ったら、文庫巻末にある京極夏彦氏との対談で「さんざん自分が迷惑した」と書かれていた。
 それから「ホームアローンじいさん」の、おのれの欲望に振り回されるじいさん。これも実際いそうな感じである。
70点

厄落とし

瀬川ことび(角川書店)

 ホラー短編集。いずれの作品も軽くて面白い。肩の力が抜けて行くホラーである。
 「初心者のための能楽鑑賞」が特に気に入った。好きな子に「能」に誘われ、仕方なく付き合う男。何度か公演を観るたびに、彼の周囲で不可思議なことが起こる。
 能に関するうんちくも興味深いし、最後のオチも深刻ぶらないところが良い。
75点

逃亡作法

東山彰良(宝島社)

 近未来の刑務所では、囚人たちの首にマイクロ・チップが埋め込まれていた。逃亡を図ると、それが作動して眼圧が急上昇し失明する仕組みになっていた。
 あるとき刑務所にテロリストが乱入し、所内は大混乱に陥る。それに乗じて脱走を企てた囚人たちの運命は。

 設定は面白いが、設定だけが面白い、とも言えそうだ。主人公が危機に陥ったり脱したりと、胸のすく展開はあるが、状況の描写がかなり分かりづらい。誰のセリフなのか、誰の行為なのか、わざとはぐらかすような書き方で、次第に嫌気が差した。
 主人公も都合のいいときだけ熱くなるイヤな奴だが、これは男性が読んだら違う意見を持たれそうではある。
65点

カレンダー

06 2025/07 08
S M T W T F S
1 3 4
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

カテゴリー

フリーエリア

最新コメント

[06/16 まきまき]
[06/16 ぴーの]
[06/10 まきまき]
[06/10 もか]
[06/09 まきまき]

プロフィール

HN:
まきまき
性別:
女性

バーコード

ブログ内検索

P R

カウンター

アクセス解析