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犠牲

柳田邦男(文藝春秋社)

 中学生の頃から心を病んでいた息子が、二十五歳で自殺を図って脳死状態となる。父親の後悔は、察するに余りある。心の病も長い間気付いてあげられず、自殺も止められなかった。
 そして脳死状態となったとき「臓器提供」の決心を迫られる。しかも奥さんはずっと半病人のようになっていて、もうこれでもかってくらい過酷な人生。それでも作者は淡々と筆を進めていく。
 きっと作者はいろいろなことに決着をつけて、この作品を執筆したのだろう。その、ある種の潔い感じに感銘を受けた。
80点
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アヒルと鴨のコインロッカー

伊坂幸太郎(東京創元社)

 大学生になりたての椎名は、引っ越してきたアパートで奇妙な青年と出会う。河崎と名乗る彼は、いきなり「書店を襲って広辞苑を奪おう」と持ち掛けてきた。彼の真意を掴みかねた椎名は、取りあえず申し出を断るが……。

 二年前に起きた事件と、現在の出来事がゆっくりと近付いてくる描き方が、とても上手い。
  登場人物も、みな魅力的で飽きさせない。ブータンから来たという優しいドルジ。向う意気が強くて個性的な琴美。飄々として女好きな河崎。唯一、ごく普通な椎名。
 彼らのいきいきとした会話が、ストーリーの奥行きをさらに深めている。
95点

ま・く・ら

柳家三治(講談社)

 噺家である柳家小三治。小三治は「枕」のほうが面白いってんで出来たのが、この本である。
 枕というのは、落語の本題に入る前に話す、いわばイントロのようなもの。それにしては話が長すぎのようだが、面白ければ問題は無い。

 特に笑えたのが「駐車場物語」。
 彼がオートバイ用に借りていた駐車場に、あるときホームレスの男が住み着いた。男はきれい好きらしく、駐車場にある水道を使っては洗濯をし、箒で駐車場内を掃いたりもする。そんな男に立ち退きを要求することもままならず、ずるずると月日は流れ……。
 ホームレスなのに(?)楽しそうに、礼儀正しく生きる男に振り回される師匠の言動が笑わせてくれる。
 その他、日本の塩がまずいという話や、サンフランシスコの英語学校に留学する話など、さすがに噺家さんは上手いなぁと唸ってしまうような話が盛りだくさんである。
75点

オーデュボンの祈り

伊坂幸太郎(新潮社)

 強盗をし損ねた伊藤は、気付くと見知らぬ島に連れてこられていた。そこは牡鹿半島の南に位置する島だったが、長らく外界とは隔絶された場所だった。
 住人は奇妙な人ばかり……反対のことしか言わない画家、太りすぎで動けない女性、しゃべるカカシ。そのカカシがばらばらの姿で発見され、島の秩序は乱れはじめる。
 
カカシがしゃべるはずがない、というもっともな考えを、伊藤も抱く。他にも、次々に登場しては好き勝手に振舞う島の住人を、いったんは疑問の目で見る。その彼の行動が「本当らしさ」を醸し出している。
 しかしながら、ストーリーに盛り上がりが乏しく、オチも弱い気がして、全体的に印象の薄い作品だった。

 ここからは個人的な意見だが、「リョコウバト」の話は稲見一良氏の「ダック・コール」の中に、「支倉常長」の話は遠藤周作氏の「侍」の中にあり、そのような作品どうしの繋がりが興味深かった。
65点

リアルファンタジア 2012年以降の世界

山川健一(アメーバブックス)

 ヘミシンクという音響技術によって、筆者は非日常的な意識へと導かれる。そこで筆者がみたのは、死後の世界か? ただの幻想か?
 70年代に特許を取得したというヘミシンクという技術。それは左右の耳から異なった周波数の音を聞かせると、二つの周波数を調和させようとして、脳が第三の幻の音を作り出すことを利用した技術である。
 ヘミシンクによって、人は死後の世界をみたり、過去や未来に行けたり、自分のガイド(守護霊のようなもの)に会えたりするらしい。
 しかし、だ。筆者が体外離脱してみた景色は、現実のそれとは違っていたという。……ちょっとアヤシイ。
 また、ヘミシンクのCDは、アクアヴィジョ○・○カデミーという会社が販売しているらしいが、とてもたくさんの種類があり、高価だ。……やはりアヤシイ。

 幼い頃は「ノストラダムスの大予言」でかなりの恐怖を味わい、今また「マヤ暦が2012年で終わっている」という新たな地球滅亡説を聞き、正直うんざりしている。しかしこの本によれば、死=無ではないらしいので、2012年に何が起ころうとも恐るるに足らず。そこだけ覚えておこうと思った。
45点

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